ただしお金には三つのステージがあると横山さんは考えている。1・お金を管理する、2・お金について学ぶ、3・お金を活かす、だ。まずはお金の流れをつかんで家計の把握・管理をし、貯蓄を作り、次の段階でお金の活かし方や増やし方を知る。そしてそのうえで実際にお金を投資し、お金でお金を増やすのだ。

「ですから基本的に投資ができるのは、ステージ3に到達した人です。皆さんの『老後の資金を早く貯めたい』という気持ちはよくわかります。しかし貯蓄がほぼゼロの人が投資に手を出すのは非常に危険です。投資を始める前に、自分の足場を固めることです。具体的には自分の収入(手取り)の7.5カ月分は貯めてからがいいでしょう。これは万が一のときのための生活防衛資金です。この防衛資金が用意できたら、家計に負担をかけない範囲内で、収入から生活費と貯金分を引いて余ったお金で投資してみましょう」

 おすすめは、まずは毎月バランス型の投資信託を3千円ずつ買って積み立てていく投資法だ。

「金額は時折3千円より大きくなっても、道を踏み外しさえしなければ、将来リターンが得られるはずです。ただ人間というものはどうしても、リターンの大きいものに走っていきがちです。『このままではリターンが少ないからFXにも手を出してみよう』等、歯止めが利かなくなってしまうのです。でもリターンが大きいけれどリスクも高いものに手を出した瞬間に一気に足をすくわれることもあります。投資は一獲千金を狙うためのものではありません。それはいま何歳の方であっても、心にとめておいてほしいですね」

 横山さんは、65歳以降の夫婦に生活費として最低限必要なのは1600万円と試算している。

「人生の最後の『貯め期』は子育ても落ち着いてくる50代。投資をするのもありですが、私としては50歳から、年金がもらえる65歳までの15年間は夫婦で懸命に働き、着実に1600万円貯めておくのが一番おすすめです。人によっては収入の約3割を貯金に回すことも不可能ではないはずです」

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