1級ファイナンシャル・プランニング技能士の風呂内亜矢さんは、40代でも全然貯金をしていないのなら、

「まずは貯蓄用の口座を開き、手取りの5%を『定額自動入金サービス』を使って積み立てていくことをおすすめします」

 定額自動入金サービスをやっているのは、ネット銀行が多い。

「毎月決まった金額を給与振込口座から自動で入金されるように設定しておけば、お金を勝手に預貯金として動かすだけなので、手数料無料で動かせます」

 そしてもしこれから先の人生で、投資をする可能性もあるのなら、

「今は投資信託でしたら100円でもできます。40代のうちから小口でつみたてNISAなどでトレーニングをしてから、個人型確定拠出年金(iDeCo)に進むのがいいと思います」

 ただし風呂内さんも、投資をきちんと始めるのは、生活防衛資金として生活費の3~6カ月分を貯めてからだという。

「貯金が50万円に満たない人は今は投資をスタートする時期ではありません。これを上回るお金がある40代ならばNISAやつみたてNISAをおすすめします。50代の方にはiDeCoをフル活用することをおすすめします」

 iDeCoは60歳までお金を引き出せないのがネックだが、税制優遇も手厚いので、老後資金を準備するなら役に立つ制度。

「そして60代の方ならば、やはりNISAかつみたてNISAをおすすめします。60歳を超えたら投資に回すお金は、全資産の1割以内にとどめておくのが無難だと思います」

 風呂内さんは、投資は自分が投じる金額でリスクコントロールすることが最も重要だと考える。

「私は老後のお金は貯蓄がゼロになるとか赤字になる瞬間がなければセーフだと思っています。90歳くらいまで『貯蓄は底をつかなければいい』と考え、働ける間は働き、長いスパンでやり繰りする視点を持つことも大事ではないでしょうか」

 さまざまな老後のお金のアドバイス。結局は貯金力と資産のチェック能力、そして投資に熱くなりすぎない感情のセーブ力が問われるようだ。(赤根千鶴子)

週刊朝日  2018年8月3日号