労働者デモ (c)朝日新聞社
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数値は橋本健二・早稲田大教授『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)から引用 (週刊朝日 2018年7月20日号より)
数値は橋本健二・早稲田大教授『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)から引用 (週刊朝日 2018年7月20日号より)
データは橋本健二・早稲田大教授『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)から抜粋して、本誌が加工。対象年齢は、アンダークラスは20~59歳、それ以外の階級は20~69歳 (週刊朝日 2018年7月20日号より)
データは橋本健二・早稲田大教授『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)から抜粋して、本誌が加工。対象年齢は、アンダークラスは20~59歳、それ以外の階級は20~69歳 (週刊朝日 2018年7月20日号より)

「格差社会」と言われて久しい日本だが、近年では「階級社会」への道を突き進み、非正規労働者で生活水準が極端に低いアンダークラスが出現。富裕層と貧困層の格差が拡大するばかりだ。

【ピラミッド図で見る】あなたはどの階級?資本家階級~アンダークラスに分類された新・カースト社会とは?

 いま、アンダークラス以外の階級にいたとしても、決して他人事ではない。中小零細企業に勤めていた人が定年退職後、年金が年額100万円未満のため、老後に非正規で働かざるを得ないことも少なくない。自営業が行き詰まって、非正規労働者になる人もいる。たとえ大企業エリートであっても、わが子がアンダークラスに転落する可能性も十分あり得る。

 心身の健康状態も、階級間格差が歴然としている。健康状態のよくない人の比率でも、アンダークラスが23.2%と際立って高い。病気の有無では、「高脂血症・高コレステロール血症」の診断や治療を受けたことのある人の比率は、資本家階級が25.3%で最も高い。逆に最も低かったのは、アンダークラスの10.0%だ。一方で、「うつ病やその他の心の病気」の診断や治療を受けたことのある人の比率は、アンダークラスが20.0%で断トツだ。

「アンダークラスは将来が見通せないためか、メンタル面の問題を抱えやすい。親しくしている友人・知人も少なく、社会的に孤立している人が多い」(早稲田大学人間科学学術院の橋本健二教授)

 救い難いのは、年齢を追うごとに正社員として働く道が閉ざされ、アンダークラス=非正規労働者から這い上がれないことだ。それどころか、2008年のリーマンショック以降は製造現場などで「派遣切り」が常態化し、深刻な社会問題となった。非正規労働者が加入する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長がこう説明する。

「最大の問題は有期雇用がものすごく増えて、いつ雇い止めになるかわからないという働き方を強いられていることです。00年代初頭までは半年契約や1年契約だったのが、いまでは2、3カ月契約が当たり前になり、短期化が進んだ。いつでもクビが切られるし、企業側の都合で使い続けたければ何度でも契約を更新できる。非正規労働者はますます弱い立場に追いやられているのです」

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