相続への関心は高まっていてセミナーへの参加者も増えている=夢相続提供
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全国で増えている空き家。資産価値の低い不動産は相続放棄も選択肢となる
全国で増えている空き家。資産価値の低い不動産は相続放棄も選択肢となる

 みんないつかは向き合うことになる相続。まだ大丈夫と思って何も準備していないと、思わぬ失敗をすることがあります。“常識”や思い込みを覆す4つの裏ワザを公開しましょう。

【写真】全国で増えている空き家

(1)×資産は最後まで守り抜く
→生前贈与で資産を減らせ 年110万円まで非課税

<ここがポイント>
●早めにスタート。亡くなる前3年以内の贈与は課税対象
●譲ったお金は相手に管理してもらう。名義預金はダメ
●贈与した契約書をつくって客観的な証拠を残そう

「自分の資産は最後まで手放さずに守る」。こんな心構えの人は多い。

 だが、財産が膨らんだ状態で亡くなると、相続の手続きは複雑になり税金の負担も増す。妻や子にスムーズに引き継いでもらうには、資産の一部を生きているうちに贈与することを検討しよう。

 相続税が減っても贈与税を払うので節税にならないと思うかもしれないが、早くから地道にやれば税金を抑える方法はある。

 例えば贈与税は年110万円までは非課税扱いだ。お金を毎年少しずつ妻や子、孫らに与えれば、長い目で見ると大きな資産を引き継ぐことができる。仮に妻と子、孫が1人ずつの計3人だとしても、年間330万円となり10年続ければ3300万円にもなる。

 実際、経営者や医者など資産家の中には、子どもや孫が生まれたことをきっかけに、計画的に贈与を始める人が目立つ。相続税の増税によって、課税対象者は2016年に亡くなった人のうち8.1%と過去最高を更新した。庶民でも資産全体を把握しないままためていると、予想外に課税対象者になり得る。

 110万円贈与の「裏ワザ」は違法なことではなく、プロも勧める方法だ。このように、みんなわかっているようでいて、誤解していたり、実行できていなかったりすることはたくさんある。

 裏ワザの実行には注意点もある。相続支援サービス「夢相続」の曽根恵子代表は、「現金を贈与する場合は相手が自由に使える状態にしておく必要があります」と指摘する。

 定期的な贈与には、子どもや孫の名義で銀行口座をつくり、振り込むケースが想定される。通帳や印鑑をずっと自分で保管し相手に渡さないでいると、名前だけ借りた「名義預金」だと見なされてしまうかもしれない。

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