保険には勧誘されてなんとなく入っているという人も多い。生命保険や医療保険、積み立て保険など種類はたくさん。最近、「生活防衛」「節約」のため、複数入っている人は「見直してスリムにすべきだ」とも言われる。

 だが、生保は相続対策に活用できる。佐藤税理士はこう強調する。

「相続対策として死亡保険は一番におすすめするものです。死亡保険金は法定相続人1人当たり500万円まで相続資産から控除できます。しかも受取人を指定できるので、相続人同士で遺産の分割方法が決まる前にすぐ受け取ることができます」

 妻と子3人の4人が相続人だとしたら、500万円×4人=2千万円まで相続税がかからない。

 死亡保険金は、相続人が最低限得られる「遺留分」を計算する対象には含まれない。そのため遺産を多く残したい人がいれば、その人を受取人とした死亡保険に入ればいい。相続させたい人にピンポイントで現金を残せるのだ。

「相続発生時、つまり死亡後に保険会社に届け出れば、比較的すぐに現金化できるメリットは大きい。銀行口座は、名義人が亡くなると凍結されてしまいます。相続人同士がもめている場合には、葬儀代など必要な現金を用意できないこともあるでしょう。出費のかさむタイミングで、まとまったお金を手に入れることができるのです」(佐藤税理士)

 高齢者には、「今から入れる保険はあるのか」という不安もあるはずだ。

 そんなときには、保険料を加入時に一括払いする「一時払い終身保険」を検討しよう。保険料は死亡時に受け取る保険金とほぼ同じだが、90歳まで加入できるものもあるなど加入条件は比較的緩い。

 ただし、すぐに解約すると、解約返戻金が支払った保険料を下回ってしまうこともある。相続対策ばかりに目がいきすぎて、生活費に余裕がなくなっても意味がない。保険料と生活とのバランスをよく考えよう。

(4)×相続人は「家族だけ」
→養子縁組で控除額を増やせ 1人で600万円控除増

<ここがポイント>
●相続税の税率の区分が下がれば大きな節税効果
●実子がいる場合で1人、いない場合で2人の制限
●妻や実子の取り分が減るので家族の理解を得て進める

暮らしとモノ班 for promotion
新型スマホ「Google Pixel 9」はiPhoneからの乗り換えもあり?実機を使って検証
次のページ