1995年の阪神・淡路大震災では倒壊した多くの建物が道路を塞いだ(c)朝日新聞社
1995年の阪神・淡路大震災では倒壊した多くの建物が道路を塞いだ(c)朝日新聞社
震度6強以上で倒壊の危険性が高い主な建物(週刊朝日 2018年5月25日号より)
震度6強以上で倒壊の危険性が高い主な建物(週刊朝日 2018年5月25日号より)
震度6強以上で倒壊の危険性が高い23区内の主な建物(週刊朝日 2018年5月25日号より)
震度6強以上で倒壊の危険性が高い23区内の主な建物(週刊朝日 2018年5月25日号より)

 地震で怖いのは建物が壊れることだ。津波は到達までに高台に逃げることができるが、大きな建物が倒壊すれば一瞬で多くの命が奪われかねない。

【写真】あのビルも!震度6強以上で倒壊の危険性が高い主な都内の建物

 東京都が3月末に公表したデータは、地震の怖さを改めて思い起こさせた。震度6強以上で「倒壊し、又は崩壊する危険性が高い」とされた建物が都内に154棟あったのだ。

 SHIBUYA109が入る道玄坂共同ビルや、新橋駅前のニュー新橋ビル、ロアビルとして知られる六本木共同ビルなど有名なビルが含まれていた。都から歴史的建造物に選ばれた新宿の紀伊國屋ビルディングもあった。

 そして、その多くは新宿や渋谷、六本木など都内の繁華街に立地していることがわかる。商業ビルだけでなく大学病院や競艇場、大型マンションや工場などもある。

 今回の公表は、2013年に施行された改正耐震改修促進法に基づいている。1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた建物のうち、人が集まる大規模なものや、災害時に緊急車両が通る道路沿いにあるものなどが対象となる。15年末までに耐震診断を実施して、自治体に報告するよう所有者に義務づけた。その結果は東京都以外でも、北海道や愛知県など全国の自治体で公表されている。

 東京都では対象となる建物は合計851棟あった。都は耐震診断の結果をもとに、倒壊・崩壊の危険性が「高い」「ある」「低い」の3段階で評価した。建物によっては、上層階や下層階、A棟やB棟などで結果が異なるものもあるが、今回は悪いほうの評価を紹介している。

 危険性が「ある」とされたのは95棟で、「低い」は584棟、ほかにも未報告などがあった。

 東日本大震災以降、首都直下型地震の危険性はたびたび指摘されてきた。政府は今後30年以内に関東地方でマグニチュード(M)7級の地震が起こる確率は「70%」と予測している。

「大地震はいつ起きてもおかしくない。東日本大震災に誘発されて首都直下型地震が起こる可能性もあり、警戒すべきです」

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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