「スキンヘッドにしてから、自分に自信が持てるようになりました」
はつらつとこう話すのは、髪の毛一本ない、ツルリとした頭が印象的な土屋公平さん(40)。私立大学で広報を務める土屋さんの朝は、頭にシェービングクリームをつけ、カミソリでそることから始まる。以前はバリカンや電気シェーバーを使って髪の毛をそっていたが、「1~2ミリ、毛が残ってしまうそり具合がどうしても気になる」(土屋さん)。5年前に納得の“深ぞり”が実感できるT字型カミソリにたどり着いてからは、これ一筋だ。
「ハゲを髪で隠すのではなく、いっそのこと全てそってしまおうという発想です。中途半端に髪の毛が残るほうがかっこ悪いという結論に行き着きました」
今でこそ堂々とスキンヘッドを楽しむ土屋さんだが、以前は“若ハゲ”に深刻に悩む一人だった。大学時代から髪が徐々に薄くなり始め、20代前半にして額がかなり後退。当時はM字型の薄毛を隠すため、後頭部やサイドの髪を伸ばしては前に必死に集めていた。
「薬や育毛剤をはじめ、月2万円払って育毛クリニックにも通いました。でもこれという効果は感じられなかった」
スキンヘッドを決心したのは、24歳のとき。薄毛を隠す労力やストレスから逃れ、とにかく「前に進みたい」という気持ちが強かった。そのとき、土屋さんは自分自身に問いかけた。
「これから先、(薄毛を)隠す人生と隠さない人生、どっちを選ぶか?」
答えは明白だった。当時付き合っていた彼女も「中途半端に髪を残すより、そったほうがいいんじゃない」と後押し。長年通った理髪店に出向き、こう言った。
「全部、そってください」
それから16年。土屋さんは当時を振り返り、笑う。
「勇気のいる選択だったけれど、人生が変わりました。自分を褒めてあげたい」
スキンヘッドにしたことで、“隠す”というストレスから解放され、以前より前向きな性格になったという。さらに、髪をかき集めていた時期より、似合う服の幅も広がり、おしゃれも楽しくなった。