「人からも覚えてもらいやすいし、自分から頭をネタにすることで、いじってもらえる。自分にも周りにも笑いが増えて、人生がぐっと楽しくなりました」
特筆すべきは、スキンヘッドにしたことが結婚にもつながったことだ。土屋さんの妻は、女優の松たか子似の癒やし系美人。薄毛の時の土屋さんは、大学時代のバイト仲間だった妻に2回告白するも、惨敗している。3度目の告白で成功したのは、スキンヘッドにしてからだ。妻は当時を振り返り、こう笑う。
「スキンヘッドにした夫の決断力が、付き合うきっかけにもなりました。いかにも薄毛を隠している中途半端な髪形のときにはなかった魅力を感じました」
久々に会い、初めて土屋さんのスキンヘッドを見たときは、「すごい! 潔い!」と感動。「よく決断したな」という称賛も強かった。
「隠す人が多い部分を、自らオープンにし、それをチャームポイントにしてしまう。その姿勢に惹かれました。たかが髪形ではあるけれど、こんな人と一緒だと楽しい人生が送れそうだなと思えたんです」(妻)
東京都在住の会社員、佐竹祐樹さん(仮名・36歳)も現在、“薄毛ライフ”を謳歌している一人。後頭部の薄毛に悩み始めた20代半ばから、育毛グッズには「500万円以上つぎ込んだ」(佐竹さん)が、進行は一向にやむ気配がない。毎朝、サイドから髪を寄せ集め、後頭部を必死に隠そうと励むも、鏡を見るたびに落ち込む日々が続いていた。
そんな中、職場の20代女性が放ったある一言がぐさっと胸に刺さった。
「『(薄毛を)隠すほうがかっこ悪いし、臆病に見える。堂々としてなよ』と。まさか女の子からそんなことを言われるとは思ってもみなかった」
以来、隠す髪形をやめ、堂々とさらけ出し始めると、くよくよしていた感情が吹き飛んでいった。
「同僚や友人からも“前より明るくなった”と言われます。おかげで7年間いなかった恋人もできました。彼女からも『隠すのはやめてね』って言われてます」