中学受験の様子 (c)朝日新聞社
中学受験の様子 (c)朝日新聞社
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 難関大の合格ランキング上位には、中高一貫校がずらりと並ぶ。わが子に中学受験をさせるべきかどうか。そんな迷いを抱く親も多いはずだ。そして、気になるのは私立に通わせるのに必要な金額。中学受験の必要性と金銭事情を専門家らに聞いた。

「難関大や医学部志望など目標がはっきりとしている子は、進学実績の高い私立中高一貫校に入ると(大学への)“出口戦略”を立てやすい。高校受験も必要なくなり、ゆとりを持って大学受験の準備ができます」

 森上教育研究所の森上展安氏は、中学受験人気の理由をこう説明する。同研究所によると、1都3県(東京、千葉、神奈川、埼玉)の今年の中学受験比率は13%。公立小卒業生の8人に1人が受験した計算だ。

 中学受験の比率は、景気動向の影響を大きく受けると言われる。2008年まで上昇傾向だったが、リーマン・ショックを機に下落へと反転。15年にようやく底を打ち、16年、17年は2年連続で増えている。

 文部科学省「子供の学習費調査」によると、私立中に通う子の学習費(授業料など学校教育費や学習塾など学校外活動費、学校給食費の合計)は年約134万円。公立中の子の2.8倍になる。さらに、私立中に入るまでの受験準備費用もかさむ。

 長女が私立中に通うファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんは、中学受験の費用をこう解説する。

「一般的に、受験準備として小4から塾に通うことが必要と言われます。有名塾の場合、小6までの3年間で230万円前後。塾に通う交通費や受験料、滑り止めの学校に払う入学金や制服代などを含め、中学受験のために300万円程度を用意する必要があります」

 文科省の調査でみても、小4から小6にかけて学習塾の費用が伸びている。受験前も合格後も多額の出費が必要だとわかる。

 鈴木さんは自らの体験を踏まえ、こう続ける。

「私立中では、年に数回の保護者会に普段着でなくセミフォーマルな服で出席する母親が多い。会場で浮かないように洋服代もかかります。クラスや部活で、母親のランチ会が頻繁に開かれる学校もあり、1回3千~4千円かかる。課外研修や合宿など、年に数回は1万円単位の集金があります」

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