放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、「入浴剤」について。
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夏場、シャワーだけで済ませていた方たちも、バスタブにタップリお湯を張った入浴が恋しくなるころではないだろうか。
芸能人、特に女優やモデルから発信されて一般に広まる入浴法というのが昔からあった。
有名なのは、新婚(!)藤原紀香がパックの日本酒をドバドバ入れる酒風呂や半身浴。
真っ昼間から読書をしたり、台本を持ち込んでせりふを覚えたりしながら最低でも2時間、お湯に浸かる……なんていう入浴法はなかなかまねはできない。
が、「それに近い雰囲気と確実な効果が得られる」と有名人やアスリートの“お風呂の友”として定番になっているのが「バスクリン」の「きき湯」シリーズだ。
まず、「きき湯 ファインヒート」は、2012年、ロンドン五輪の直後、メダリストらが愛用している入浴剤として、その名が広まった。
同社があらためて調査をしたところ、「疲労回復したい」「すごく疲れがたまったときなどに利用したい」という声が多かったそうだ。
「ファインヒート」が炭酸ガス量を従来品の約4倍にしたり、トウガラシエキスやレモンエキス、塩を新配合し、リニューアルしたのとほぼ同時期、「きき湯」もパワーアップした。
温泉ミネラルと炭酸ガスの温浴効果で一日の疲れをケアし、翌朝の症状を和らげる新しい入浴習慣を提案してきたシリーズにも有名人のファンが大勢いる。
片岡愛之助は、藤原紀香と交際する前から「きき湯」ファンだとか。私はてっきり、さまざまな美容健康法を妻から押し付けられている(!)とばかり思っていたのだが、そうではなかったということか。
さらには、フィギュアスケートの羽生結弦選手や女優の南野陽子も以前からの愛用者。私と兄弟弟子の放送作家・脚本家の小山薫堂氏は、「きき湯の1本使い」を提案しているという。
確かに、入浴剤の適量というのは悩むもの。特に、炭酸ガスの温浴効果を売りにしているタイプの入浴剤は、たっぷり使って吉だという気がする。
小山氏はオレンジ色の「きき湯」(食塩炭酸湯)がお気に入りと聞いた。
その日の症状は、その日の「きき湯」で……が冬の入浴の定番となりつつある。
※週刊朝日 2016年10月21日号