早稲田大学三品食堂特大の「赤カツ玉ミックス」(1200円)は総重量約1.2キロ! 「学生時代はカネがなくて食えない、今は体のために食えないなんて卒業生もいるよ(笑)」と2代目店主の北上昌夫さん(撮影/写真部・東川哲也)
早稲田大学
三品食堂
特大の「赤カツ玉ミックス」(1200円)は総重量約1.2キロ! 「学生時代はカネがなくて食えない、今は体のために食えないなんて卒業生もいるよ(笑)」と2代目店主の北上昌夫さん
(撮影/写真部・東川哲也)
この記事の写真をすべて見る

 コーヒー1杯で何時間もおしゃべりしたり、金欠でもおなかいっぱい食べられたり――。学生街には、昔も今も学生たちに愛される名店がある。

【その他の写真はこちら】

 卒業生のあの人たちも常連だった。東大正門前の喫茶ルオーの2階窓際が指定席という小椋佳さんは、この店をモデルに「なんということもなく」という曲を書いた。慶大出身の石破茂地方創生担当大臣は、学生時代に通ったつるの屋に今も時々ふらりと顔を出す。マダムシルクには、立教時代の佐野元春さんや映画監督の黒沢清さんの姿も。どの店も、懐が寂しい学生にも優しい安くてうまい手作り料理がメニューを飾る。

 今や、学食が洒落たカフェになり、キャンパス内にファストフードやコンビニがオープンする時代。学生街の風景も変わりつつある。それでも、半世紀にわたって愛されてきた名店は、同じ場所、同じ味で、これからも学生たちを見守り続ける。

■つるの屋(慶應義塾大学)/85歳のオヤジさんが待つ塾生の「心のふるさと」
三田で1969年から営む大衆酒場。学生はもちろん、数十年と通い続ける卒業生も少なくない。85歳のオヤジさん(渡辺教義さん)と80歳のおばちゃん(加藤桂子さん)が今も店に立ち、飲みすぎると「愛のムチ」を飛ばしてくれるのは昔と同じだ。看板メニューは揚げた豚肉に甘酢あんがからむ「ぶた黄金揚げ」(500円)。
・東京都港区芝5‐14‐15 B1F

■神田天丼家(明治大学)/海老天丼を注文するのが学生たちの変わらぬ夢
メニューは「天丼」(600円)と「海老天丼」(850円)のふたつ。店に入ると2代目店主の須賀雅治さんに「天丼でよろしいですか?」と声をかけられる。店名と場所(かつては明大記念館そば)は変わったが、この一声で学生時代の思い出が蘇るに違いない。ご飯を一粒も残さなかったなら、大盛り代を取られないのも変わらない。
・東京都千代田区神田神保町3‐1‐14

次のページ