詩人、エッセイストの佐々木桂さんが、日本津々浦々に残る田園風景とその米を紹介する本誌連載「美し国、旨し米」。今回は、この時期、食べることも多いモチ米の特長を伝える。
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冬場、特にお正月ともなれば、食卓の主役に躍り出るのが餅(モチ米)だ。モチ米は、普段食べる米(うるち米)とどういう違いがあるのだろう。
うるち米の旨味に影響するものの一つに、デンプン中のアミロースという成分がある。少ないと粘り気があり、多いとパサパサする。モチ米は、アミロースが0%。そのためモチ米は粘りを持ち、餅に加工しやすい。
餅は、実は同容量の米よりもカロリーが高い。より効率よくエネルギーを補給できる。スポーツ時や体力を使う仕事には最適な食べ物といえる。
さらに、消化がよく胃もたれしないため、胃腸が弱い人にも優しいという特長もある。筆者は体調を崩して食欲がない時には餅を頂く。
いいことずくめのようだが、消化がよく量が食べられて高カロリーとあれば、食べ過ぎはすぐに体に跳ね返ってくる。お正月の餅は、やはりほどほどに。
※週刊朝日 2016年1月15日号