今回で5回目となる歴史・時代小説ベスト10は例年どおり、文芸評論家や書評家、コラムニスト、新聞や雑誌の書評担当者、編集者、書店員ら“本読みのプロ”を対象にアンケート形式で実施した。2013年(12年11月~13年10月の刊行が対象)の歴史・時代小説の中から、3作を推薦してもらい、順位をつけた。

 第1位の『村上海賊の娘』を著した和田竜は、09年のベスト10で『小太郎の左腕』が第7位になって以来の入選。小説としては4作目でトップに輝いた。

 第2位の『巨鯨の海』の著者、伊東潤は、前回ベスト10で『国を蹴った男』が第10位となったのに続く2年連続のランクイン。第3位に入った『とっぴんばらりの風太郎』の万城目学は、初めての時代小説が入選した。

 朝井まかて、畠中恵の女性2人がそれぞれ江戸と明治を舞台に新境地を開く作品を著したのも目を引いた。『三国志』が完結した宮城谷昌光をはじめ、浅田次郎や葉室麟、佐々木譲ら実力も人気も兼ね備えた作家が並んだのも13年の特徴だ。

「2013年歴史・時代小説ベスト10」のすべてラインナップは以下のとおり。

1位『村上海賊の娘』上・下 和田竜 新潮社
2位『巨鯨の海』 伊東潤 光文社
3位『とっぴんぱらりの風太郎』 万城目学 文藝春秋
4位『一路』上・下 浅田次郎 中央公論新社
5位『陽炎の門』 葉室麟 講談社
5位『日輪の賦』 澤田瞳子 幻冬舎
7位『明治・妖モダン』 畠中恵 朝日新聞出版
8位『恋歌』 朝井まかて 講談社
9位『獅子の城塞』 佐々木譲 新潮社
10位『三国志』第十二巻 宮城谷昌光 文藝春秋

週刊朝日  2014年1月3・10日号