3月の世界選手権では日本人最年少メダル(銅)を獲得した羽生結弦さん (c)朝日新聞社@@写禁
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 17歳が神がかっていた。いまや男子フィギュアスケートの若手エースとなった羽生結弦(ゆづる)が11月24日、GPシリーズ第6戦のNHK杯で、“キング”高橋大輔(26)を抑えて優勝を果たした。前日のショートプログラム(SP)では「95.32」点と、今季グランプリ(GP)シリーズ初戦で自らマークした世界歴代最高得点を更新。驚異的な成長をとげる羽生について、スポーツライターの青嶋ひろの氏は、「(2014年の)ソチ五輪の最有力のひとり」と太鼓判を押す。

 2種類の4回転ジャンプに、観衆を惹きつける表現力。あどけない顔に似合わず、あまりにも簡単に難易度の高いジャンプをこなすので、世界の解説者たちを唸らせることもしばしば。世界のトッププレーヤーたちが“標的”としてまず名前を挙げるのも、やはり高橋と羽生だという。

「くまのプーさん」のティッシュケースを愛用し、細身で中性的な魅力で女性ファンをガッチリ掴むが、先の青嶋氏によると、実は「日本男子勢で唯一の“肉食系”」だという。

「高橋選手をはじめ日本男子は“草食系”が多く、なかなか世界で実力を発揮できなかったけれど、羽生選手は強気な発言で気持ちを前面に出す。理想が高く、ぶれないので、ケガさえなければ五輪を連覇できるほどの逸材です」

 今年から拠点をカナダに移し、あのキム・ヨナを金メダルに導いたブライアン・オーサー氏に師事。ますます伸び盛りだという。

 そんな羽生を、最も脅威に感じているのは、やはりこの男、日本男子勢を牽引する高橋だろう。高橋は今年、安藤美姫の元コーチで、2008年に“師弟関係解消”したニコライ・モロゾフ氏に再び師事すると発表して周囲を驚かせた。

「環境が良かったにもかかわらず、コーチにモロゾフを加えたのは、その心地よさが危ないと感じた、と聞いています」(青嶋氏)

週刊朝日 2012年12月7日号