■途中で発生した半年の空白。その時ミスターは…

――番組5年目にして、半年間の休止。出演者のひとり、ミスターこと鈴井貴之さんが映画製作をするためでしたが、鈴井さんは「もう戻らないかも」と言っていたとか。空白の半年間、何があったんでしょう?

 鈴井さんは一番、自分の立ち位置をどこに定めていいかわからなくて悩んだ人です。スタート時はあの人が中心のはずだったんですよ。実際、初期には「さあ、始まりました」っていう彼の声で始まってましたからね。それがいつのまにか大泉さんと入れ替わってきて。じゃあ彼のサポートに回ればいいのかって思ったら、今度は僕が関わり始めて、ポジションが見えなくなっちゃった。普通ならそこを考えるのもディレクターの仕事なのかもしれないけど、「そこはね鈴井さん、自分で考えてよ」って。あはははは!

「ほんとは俺が中心のはずだったじゃん!」っていう思いもあったと思います。その一方で「じゃあ俺中心でこの番組は面白くなるのか?」って考えたとき、やっぱり大泉が面白いんだってことを彼は認めたわけですよ。ではどうしようかと。それで「戻らないほうがいいのかも」って思ったんでしょうけど、僕は「戻って来ないわけがない」と思ってた。

 ちょうど、鈴井さんなりの立ち位置がうまく固まりかけてた時だったんですよ。「あなたはしゃべらなくていいよ。存在だけで笑えればいい。その地位を確固たるものにしてくれれば成立するから」っていうね。でもそれって認めにくいですよね。「何もしなくていい、いてくれるだけでいい」なんていうのはさ。俺、何のためにいるの?って思うよね。でも彼は帰ってきた。

 みんな、タレントっていう「役割」で人を見ちゃうでしょ。だから無理があるんですよ。僕らは鈴井貴之っていう「人間」を見てるわけで。だから「あんたしゃべんなくていいよ」って言えるんです。僕らの番組は人間を見せているのであって、役割を見せてるわけじゃない。でもそれを、「そうか、それでいいんだ」って腑に落ちたのなんて、最近なんじゃないかな。6年間じゃ、腑に落ちるところまでいかなかったと思いますよ。

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