私鉄最長の鈍行列車が走る三陸鉄道。山田線が組み込まれたことで、全区間が三陸鉄道の路線となった (C)朝日新聞社
私鉄最長の鈍行列車が走る三陸鉄道。山田線が組み込まれたことで、全区間が三陸鉄道の路線となった (C)朝日新聞社
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金沢~糸魚川間を直通するあいの風とやま鉄道の521系。同社の区間は100.1キロに及ぶ (C)朝日新聞社
金沢~糸魚川間を直通するあいの風とやま鉄道の521系。同社の区間は100.1キロに及ぶ (C)朝日新聞社
隈之城~新八代間を走る列車は、肥薩おれんじ鉄道を全区間走破。鹿児島本線時代から有名な、海に面した絶景区間を走行する (C)朝日新聞社
隈之城~新八代間を走る列車は、肥薩おれんじ鉄道を全区間走破。鹿児島本線時代から有名な、海に面した絶景区間を走行する (C)朝日新聞社
大手私鉄の最長距離列車、新栃木~会津田島間を走る6050系はボックスシートの車内で長距離旅も楽しい 撮影/岸田法眼
大手私鉄の最長距離列車、新栃木~会津田島間を走る6050系はボックスシートの車内で長距離旅も楽しい 撮影/岸田法眼

 モノ、コト、なんでもスピード化されているいま、とてつもない長い距離を各駅停車で走る長距離鈍行がある。JRグループの最長距離鈍行(各駅停車)は、JR東日本の熱海発黒磯行き1644Eおよび黒磯発熱海行き1545Eで、上野東京ライン(東海道・東北本線)で268.1キロメートルを4時間46分(1644E)かけて結ぶ。では、私鉄はどうなのだろうか? 調査してみたところ、真冬の車窓が楽しめる路線が勢ぞろい! 営業キロでランキングしてみたが、あえて、4時間超えの旅も上等!で、乗ってみる?

【大手私鉄でランクインした鉄道の写真はコチラ】

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■第1位 三陸鉄道 盛~久慈間:163.0キロ

 三陸鉄道は国鉄3路線、鉄道公団の建設線を引き継いだ、転換第三セクター鉄道の第1号として、1984年4月1日に南リアス線盛(さかり)~釜石間、北リアス線宮古(みやこ)~久慈(くじ)間が開業。当時は空前絶後の三陸鉄道ブームが沸き起こり、連日多くの観光客が押し寄せた。

 釜石~宮古間は国鉄(現・JR東日本)山田線に挟まれており、それぞれの終着駅で乗り換えなければならなかったが、1987年3月22日から相互直通運転がスタート。このときに盛~久慈間の長距離鈍行が誕生した。

 その後、2011年の東日本大震災の影響もあり、山田線釜石~宮古間が三陸鉄道として復旧することが決まった。2019年3月23日にリアス線として再出発。盛~久慈間の列車は下り2本、上り3本が設定された(いずれも途中駅で列車番号が変わる)。所要時間は4時間21~38分。

 日中の列車は恋し浜で2~3分停車するので、ホームに設置された「幸せの鐘」を鳴らす客も多い。また、待合室にはホタテの貝殻とマジックが置かれ、貝殻を絵馬に見立てて復興への願いを記すこともできる。
 
 絶景車窓では徐行運転し、朝ドラ『あまちゃん』のロケ地として袖が浜駅の舞台となった堀内にも停車する。現在、台風19号の影響で一部区間が不通となっており、2020年春に完全復旧の予定である。

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ランキング上位は絶景車窓を楽しめるものばかり