ところで、シェフは、フランス料理店の厨房に一人しかいない。シェフというのは料理長のことをいい、シェフ・ド・キュイジーヌが正式名称である。厨房を仕切り、料理を作るイメージが強いが、実は通常、シェフが厨房で料理を作ることはない。提供する前のソースの味見や厨房の最前線で皿に盛られた料理の出来栄えを確認する役を担う。
実際に厨房で料理を作るのは、二番シェフであるスーシェフ・ド・キュイジーヌ以下のスタッフからになる。料理の進捗を確認し、遅いセクションを手伝うなどして、厨房内をコントロールするのもスーシェフの役割だ。他にも、新作メニューの作成や、発注、原価管理も担っている。
厨房の世界を会社組織でいえば、シェフが会長(CEO:最高経営責任者)で、スーシェフが社長(COO:最高執行責任者)と考えると理解しやすいだろう。
さらにその下には、シェフ・ド・パルティという、部門シェフ(厨房内の部門責任者で、各部門を統括するポジション)がいる。
ドミシェフ・ド・パルティは部門准責任者。部門責任者の補佐役であり、大きなホテルやレストランの場合は部門内で一つの係を担当する。小規模なレストランならこのポジションがないこともある。
その下に、コミが調理師で、アプランティの見習いと続く。
調理部門別では、ソーシェは仕上げ・ソースを、ポアソニエは魚料理、レスポンサーヴ・ドゥ・ラ・ヴィアンド、またはロティスールが主菜(肉料理)を担当する。アントルメティエは温野菜を、ガルド・マンジェは冷野菜を、パティシエは菓子と分かれている。
鈴木京香さんにKis-My-Ft2の玉森裕太さん、尾上菊之助さんと、そうそうたるメンバーがどのレストランでどの役割を担うのか、そちらも楽しんで欲しい。
ちなみに、タイトルにあるグランメゾンとは、歴史があり格式が高い超高級フランス料理店を意味する和製フランス語だ。
さてここからは、謎に包まれたミシュラン調査員の行動や調査ポイントについて紹介したい。ただし、ミシュランは調査方法や項目を公表していない。なのでここで述べるのは、レストランでそれらしき客人に遭遇したり、実際に調査員が名乗ったときの話を聞いた上で、筆者が予測したものだ。果たしてどこまで実際の審査方法に肉薄しているだろうか……。