2019年10月20日、話題のテレビ・ドラマ、日曜劇場『グランメゾン東京』(TBS系列・毎週日曜夜9時放送)がはじまる。主役の木村拓哉さんが挑むのは、型破りなフランス料理のシェフ・尾花夏樹役だ。
フランス・パリに自身の店を持ち、ミシュランガイド2つ星まで獲得した尾花だったが、慢心から招いた事件で挫折、店も仲間もすべて失う。奈落の底に転落したが、今度は東京で、世界最高峰の3つ星レストラン「グランメゾン東京」を作るためにもう一度夢に向かう物語。
一流レストランの知られざる舞台裏を描く本作のクランク・インの舞台は、パリで3つ星を30年以上獲得し続ける、「世界一予約が取りにくい」と言われる超高級レストラン「ランブロワジー(L’AMBROISIE)」。同店でのロケは世界初とあり、それだけでも話題だが、ここではこのドラマをより楽しむために抑えておきたいフランス料理の予備知識を紹介したい。
フランスの厨房では、会話はフランス語のみ。日本人シェフ同士でも、必ずフランス語でやり取りする。多国籍の人種が働くフランスでは、フランス語以外の言語で話していると、悪口を言っていると思われる可能性があるためだ。また、そもそもフランス料理には独自の調理方法が多く、訳せない用語もあることも理由のひとつだ。
厨房へオーダーが入った際、シェフが最初に発する掛け声は、「サー・マッシュ」がポピュラーだ。意味は「オーダーが入ります(はじめよう)」。それに対して、厨房にいる全員は「ウィ、シェフ!」と返す。意味は「かしこまりました、料理長!」。続いてシェフが「数+メニュー」の形でオーダーを読み上げる。そしてまた、厨房の全員で「ウィ、シェフ!」と返答。それから料理の役割分担を行い、みんな一斉に手を動かす。
ドラマの予告CMを見ると、木村シェフは「アレ・オニヴァ」と言っている。これはどちらかというと、「さあ、はじめようか」という普段遣いの言葉である。フランスでの生活の長さや、型にはまらない性格を表しているのかもしれない。