小牛田(こごた)と新庄とを結ぶ「陸羽東線」も、東北地方でおススメの紅葉路線だ。「奥の細道湯けむりライン」の愛称を持つ非電化ローカル線で、沿線の中心に鳴子温泉郷を持つことなどから、観光利用の多い路線でもある。

 紅葉路線としてのハイライトは鳴子温泉~山中平温泉間に展開する鳴子峡で、ピーク時には高さ100メートルに及ぶ大谷川のV字谷に生息するミズナラやブナ、カエデなどの紅葉と、松などの緑が絶妙のコントラストを見せる。

 鳴子峡の渓谷そのものは車窓からはあまり望めないものの、鳴子側から鳴子トンネルを出て渡る橋梁は鳴子峡の核心部に近く、紅葉と列車を捉えた鉄道写真も数多く発表されている沿線随一の絶景ポイントだ。また、鳴子温泉駅は温泉街にあり温泉探訪にも便利。途中下車をしながら、立ち寄り湯や紅葉散策を楽しんでみてはいかがだろうか。

 東北地方では、このほかにも奥羽本線の福島~米沢間や仙山線(仙台~羽前千歳間)に注目してみたい。

 奥羽本線のこの区間は、むしろ山形新幹線と呼ぶほうが通りがよさそうだが、鉄道の難所の筆頭格として君臨してきた板谷峠(いたやとうげ)を擁する第一級の山岳路線でもある。この区間を走破する普通列車は1日6往復と少なく、そういう意味でも難所といえそうだが、車窓をじっくり楽しむには山形新幹線「つばさ」ではなく普通列車を選びたい。

 米沢からは米坂線に乗り継いでもいいが、山形まで出て仙山線を探訪してもいい。仙山線は紅葉路線としても知られ、面白山高原(おもしろやまこうげん)~山寺間ではズバリ「紅葉川渓谷」に沿って山あいを進んでゆく。広瀬川沿いとなる仙台側でも渓谷と紅葉のコラボレーションが期待できる。

 作並温泉や山寺などにも立ち寄りながら、奥羽本線と合わせた周遊ルートはいかがだろうか。

■都心から日帰りプランで上越国境越え

 上越新幹線開業後はすっかり地域路線となった上越線(高崎~宮内間)だが、ときには普通列車を乗り継ぎながら上越国境を越えてみるのもいい。

次のページ
ループ線、トンネル駅…鉄道名所も探訪