紅葉路線としての最初のポイントは津久田~岩本間で、蛇行する利根川を縫うように進み、途中で渡る3つの橋梁では利根川(綾戸渓谷)に映える紅葉が車窓を楽しませてくれるだろう。
猿ケ京温泉の玄関駅でもある後閑(ごかん)を過ぎると山岳路線ムードが高まり、水上を過ぎるとやがて上越国境越えに挑む。長さ1万3490mの新清水トンネルを越えると新潟県で、紅葉時期から冬にかけてはとりわけ季節のうつろいを実感できるかもしれない。
上り線に設けられているループ線やトンネル駅・土合(どあい)駅など、国境越えに挑む普通列車で紅葉の車窓を楽しみながら、そうした鉄道名所の探訪もできるのが上越線の持ち味だ。
新幹線を利用すれば都心からのアクセスも容易なこれらの路線。日帰りで秋の鉄道ざんまいの一日を過ごしてみてはいかがだろう。
【各路線へのアクセス】(※紅葉時期は目安)
●山田線(紅葉時期:10月下~11月上旬)
東北新幹線盛岡駅乗り換え。下り列車で上米内以遠に行く列車の始発は11時5分発の快速「リアス」宮古行きまでなく、全体の本数も少ないのでプランニングの際には時刻表のチェックを。
●陸羽東線(紅葉時期:10月中~11月上旬)
東北新幹線小牛田駅または山形新幹線新庄駅乗り換え。
●奥羽本線(福島~米沢/紅葉時期:10月中~11月上旬)
東北新幹線福島駅乗り換え。普通列車は新幹線ホームではなく在来線ホーム発着となる。
●仙山線(紅葉時期:10月中~11月下旬)
山形新幹線(奥羽本線)山形駅または東北新幹線仙台駅乗り換え。
●上越線(紅葉時期:10月下~11月中旬)
高崎線または上越新幹線高崎駅で乗り換え。新潟県側では越後湯沢で上越新幹線と接続。上越国境越えとなる水上~越後中里間は運転本数が激減するので注意。
○植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。