これらの発言から不登校の増加には以下の背景があると考えられます。
1、以前よりも学校が子どもたちにとって息苦しい場になっている。
2、一方で、SOSをあげた子に対しては以前のように瀕死の状態にまでは追い詰めずに不登校を認めてあげている。
「学校の中は厳くなっているが出口はやや緩んだ」というような状況でしょうか。そう考えれば、不登校が増えたのは悪いことだとは一概に言えません。苦しい子のSOSに早く気づくことができるようになったとも考えられるからです。
■進まない環境整備
要因や背景よりも大きな問題なのは、不登校の子を受け入れる環境整備が進んでいないことです。ここ数年、こんな声をよく耳にします。
「子どもを受け入れてくれる場がなくて本当に困っている」(40代・東京)
「保健室からも出ろといわれてどこにも行き場がない」(14歳・広島)
実は、8割以上の子が、学校外の場には行っていません。
どういう状況かというと、まず不登校の子の受け入れ先として有名なフリースクールに通う子は、ほんの一握りです。調査でも、フリースクールなど民間団体に通う子は4635人(学校把握/小中学生のみ)。不登校生徒全体の2.8%。公的に不登校の子を学校外で受け入れる教育支援センターに所属する子も1万9784人(12%)でした。
フリースクールや教育支援センターの数は、全国で2千カ所程度。それは大学図書館の数とほぼ同規模です。
子どもが大学図書館に毎日通いたいと思ったら、親としては「どこにあるんだっけ?」「送り迎えしなければ無理じゃないか」など、現実的な問題に直面するでしょう。それぐらい、いま不登校の子どもの受け入れ先は少ないという状況なのです。
そのうえ、フリースクールに通うことは精神的なハードルも高く、経済的な問題も発生します。
では、どこに不登校の子どもがいるのか。多くは学校を休みながらも通っているのです。そのなかには上述した「保健室登校」も含まれます。
調査によれば、学校がやっている日の半分以上も学校へ通った子は全体の4割に達しました。