飲酒と喫煙は深く関わっている。飲酒者が喫煙をしているとリスクはずっと増える。なお、食道がんには扁平上皮癌と腺癌という2つのタイプのがんがあるが、飲酒で増えるのは前者のみと言われている(Pandeya N et al. Gastroenterology. 2009 Apr;136(4):1215–24, e1-2)。
もっとも、後者についてはワインの場合は減るかもしれないことが示唆されている(後述)。
アルコールは目にも影響を与える。いろいろな研究データを統合したメタ分析によると、大量アルコール摂取は白内障発症のリスクを増すという。ただし、喫煙という交絡因子を調整するとそのリスクはやや下がるとか。
適度な飲酒であれば白内障のリスクが下がる(かも)、というデータになっている(Gong Yet al. Optom Vis Sci. 2015 Apr;92(4):471–9)。同様に、大量アルコール摂取は加齢性黄斑変性症のリスクを高めるというメタ分析もある(Chong EW-T et al. Am J Ophthalmol. 2008 Apr;145(4):707–15)。
妊婦がアルコールを摂取すると子どもに悪影響があることが昔からいわれている。しかし、1日10g未満程度の飲酒であれば生まれた子どもの健康には悪影響はないかも、という研究も発表されている(Patra J et al. BJOG. 2011 Nov;118(12):1411–21)。妊娠中、ときに記念のワイン1杯位は、問題ない。ここでも極端なのはよくない。過度に罪悪感を抱きすぎないほうがよいだろう。
アルコールは他にもいろいろな健康問題、社会問題と関係している。けが、暴力、事故、自殺、その他の社会的な迷惑行為だ。こんなわけで、アルコール摂取は多種多様な健康問題の原因になっている。酔ったときの他人への迷惑も考えると、たばこと比肩できるほどの健康被害が懸念される。