現役時代は巨人などで活躍した駒田徳広氏 (c)朝日新聞社
現役時代は巨人などで活躍した駒田徳広氏 (c)朝日新聞社

「究極の天下りですよ」

 高知ファイティングドッグス監督・駒田徳広は語り始めた。

「現役時代、プロでそこそこやったから独立リーグ監督の声がかかった。もちろんNPBの監督やコーチなどと比べれば、ここは最底辺の天下り先です」

 かつて巨人、横浜でプレーし2000本安打を達成。チャンスに抜群に強い打撃で「満塁男」とも呼ばれ、守備の巧みさにも定評があった。現在はNPB傘下に属さない独立・四国アイランドリーグplusで夢を追いかける選手たちの背中を押す。

ーー東大から高校中退まで幅広い選手層。

 NPBで日本一にもなった男が経験したことない環境に立っている。まず選手たちのレベル、そして経歴にさまざまな幅があることに目を見張った。

「NPBに入団した選手もいる。知名度も少しずつ高まっているので、良い素材は集まるようになっている。間違いなく全体のレベルは上がっているが、1人1人の経歴の幅が広いというか……。技術レベル、体力、そして学歴という部分」

「元プロ選手から、高校出たばかりで技術的に荒い選手もいる。東京六大学の東大や慶応出身がいると思えば、高校中退もいる。育ってきた環境が違うので、それぞれのバックグラウンドも常に頭に入れている」

ーー自分を変える勇気を持つことで成長する。

 レベルアップして上のカテゴリーを目指すのは変わらない。選手に求めるのは、当然ながら貪欲な向上心だ。

「独立リーグということは、言ってみれば負け組。だから勝ち組に入るきっかけや要領を覚えて欲しい。そのためには1試合ずつ勝利にこだわることも1つのきっかけになる」

「高知でレギュラーとして出て、打率2割後半の結果。どのくらいの価値があるのか。満足するのか。向上心が少なくなった時点で成長は止まる」

 自らを変えることの重要性も語る。変化することで上のステージに行けたと語る。

「高校時代はそんなに考えなくても打てた。でも巨人に入って1年目、これでは打てない、と悟った。3年目も5年目も常にそういうことを考えていた。打撃フォームも変化した」

「自分を変える勇気を持てるか、ということ。もちろん中には本当の天才もいて、まったく変えていない選手もいる。でも大多数はなんらかの変化を経験する。イチローだって変化してきた。自分自身で考えてもがいて答えを出す。それが自分を変えるということ」

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巨人ほど社会人としてのマナーを教える球団はない