1997年、京阪電鉄はそれまで三条通(旧・国道1号)上の併用軌道(路面電車区間)を走っていた京津三条~御陵間3.9キロを廃止。京都市営地下鉄東西線京都市役所前~御陵間に、新製された800系による直通乗り入れが開始された。2008年に東西線の延伸によって、太秦天神川(うずまさてんじんがわ)まで乗り入れ区間が延びている。
京津線の800系電車は16.5メートル車両の4両編成。両端の2両は一部を除き1+2列のクロスシートで、それぞれ運転席側に向いて固定されている。そのため、進行方向の先頭車両に乗ればずっと前向きの姿勢でいられ、最前部の1人掛けシートが確保できれば、私鉄有料特急などの「展望車」に匹敵する車窓風景が堪能できる。「むしろ最後部の“逆ジェットコースター”状態がたまらない」というファンも多い。なお、中間車2両はすべてロングシートとなっている。地下鉄~山岳鉄道~路面電車区間を直通するためのさまざまな機器が床下にぎっしり搭載されているため、“日本一高価な(車両単価の高い)電車”ともいわれている。
800系は2017年から21年度中をめどに、水色と白色・黄色帯を基調にしたデザインから、京阪本線系統と同様の濃緑色と白色・黄緑帯のカラーリングへの変更が進められている。
■ベンチの脚の長さが左右で異なる急勾配上のホーム
びわ湖浜大津行きの電車は、地下鉄区間を太秦天神川からかつての起点にあたる三条京阪を経て、御陵へと走る。京阪電鉄は、びわこ浜大津方面行きを「上り」、太秦天神川方面行を「下り」列車と称している。いまでこそ景観には恵まれない地下鉄区間だが、京津線が地上を走っていた頃は途中の蹴上(けあげ)付近に桜並木が続くなど、古都の東郊・東山のふもとの美しい風情が乗客を楽しませていた。蹴上駅の近くにはJRの最急勾配区間だった信越本線横川~軽井沢間(1997年廃止)の碓氷(うすい)峠越えに匹敵する66.7パーミルの勾配も存在していた。