鶏眼はうおのめと呼ばれ、タコに似てますが違うものです。タコはまんべんなく角層が肥厚したものですが、うおのめは楔(くさび)形に増殖します。そのため、中心部に一箇所、点が見えることが多いです。小石を踏んで傷になった部分がその後、歩く刺激が加わり、うおのめになることがあります。このうおのめ、小さい段階から痛みが出ることが多く治療としては削るのが王道です。
疣贅(イボ)は、タコやうおのめと違い、ウイルス感染が原因です。見た目がタコやうおのめに似ていますが、よく見ると違います。イボは内部に小さな黒色の点々が多数観察できます。裸足でプールサイドを歩いたり、子供の場合は砂場で遊んで感染することが多いようです。
イボの主な原因はヒト乳頭腫ウイルス(HPV)です。このウイルスは皮膚の基底細胞という部分に感染します。皮膚は外側から角層、表皮、真皮、皮下組織とあり、基底細胞は表皮の一番深いところに存在する細胞です。この深い部分にウイルスが感染しているので、一番外側の角層を削っただけでは治りません。つまりタコやうおのめと同じ治療では完治しないということです。根っこのウイルスを殺す治療がメインになるため、病院では液体窒素を使って表皮の深い部分まで凍らせます。また、皮膚の厚さは体の部位で違うため、皮膚が薄い顔にできたイボは治療しやすいですが、足の裏や手のひらのイボは液体窒素で何回も治療しないと根っこのウイルスは殺せません。
古い医師向けの教科書には、イボの治療に「おまじない」と大真面目に書いてありました。日本全国にイボ地蔵というものも存在します。イボに関しては、治ると信じたら免疫反応が亢進(こうしん)してウイルス排除に働くことがあるかもしれない、そう考える専門家もいます。ただ、現在は「おまじない」より効果的で優れた治療がたくさんありますので、祈るより病院を受診したほうが治る確率ははるかに高いです。
イボの治療のためにハトムギ茶を飲んでいる患者さんを時々見かけます。たしかに、ハトムギの成分であるヨクイニンはイボの治療に使われます。しかし、ハトムギ茶を飲むだけでは正直気休めにしかなりません。ハトムギ茶の中に含まれている有効成分はごくわずかです。毎日おなかが膨れるほどハトムギ茶を飲んでも、治療効果は期待できません。成分のヨクイニンは市販で購入可能です。ただし大人の場合、1回3~6錠を1日3回飲まないといけません。かなりの内服量になります。