ハトムギは化粧品に配合され、注目されています。しかし、これも化粧品に含まれるハトムギ成分程度で十分な効果が出るかは甚だ疑問です。ヨクイニン自体、どういった作用でウイルスを排除するのかいまだにわかっていません。首のブツブツにヨクイニン配合の化粧品を使用する広告も目にしますが、そもそも首にできるイボのほとんどは「アクロコルドン」と呼ばれるもの。触ると軟らかく、摩擦や年齢が原因でできます。このアクロコルドンはウイルス感染でもありませんし、角層が厚くなったものでもありません。ヨクイニンではほとんど治らないだろうと、個人的には思っています。

 このように、化粧品で皮膚病を治そうとする方を見かけますが、化粧品は病気を治すものではありません。病気を治すのであれば、正しく薬を使うか病院で治療してもらうことが必要です。化粧品の効果・効能は穏やかなものと決められており、あくまでも化粧のために使うものです。

 これとは反対に、医薬品を化粧品の代わりに使うことで問題になっているケースもあります。

 例えばヒルドイドという保湿剤。これは皮脂欠乏症など、皮膚の乾燥の治療として使う医薬品です。ここ数年、化粧水や乳液のかわりにヒルドイドの処方を希望する患者さんが増えているようです。健康な皮膚の人が病院で大量のヒルドイドを処方してもらった結果、ヒルドイドが必要な患者さんに十分な処方ができない状況になりつつあります。医薬品と化粧品は正しく使い分けましょう。

 さて、今回は足の裏にできるできものを中心に解説しました。原因が違えば治療法も変わります。まずは、正しく診断をつけることが大事です。市販の貼り薬で治らない足の裏のできものは、そもそも診断が間違っているのかもしれません。きちんと病院へ行きましょう。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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