アーモンドアイの陣営は凱旋門賞の前に欧州でレースを使いたい意向とのこと。本番と同コース同距離ながら中2週となってしまう仏G1ヴェルメイユ賞や仏G2フォワ賞ではなく、日程に余裕が持てる8月22日の英G1ヨークシャーオークス(芝12ハロン)、もしくはその前日に行われるG1英インターナショナルステークス(芝10.5ハロン)が有力候補との見方が出ている。
前者はエネイブルが一昨年に勝ったレースで、ここから次走の凱旋門賞制覇につなげた。シーオブクラスも昨年に制し、やはりこのレースから凱旋門賞へと向かっている。後者の勝ち馬からは2009年のシーザスターズを最後に凱旋門賞馬が誕生していないが、2017年に勝ったユリシーズは凱旋門賞で3着と善戦している。また、2005年には日本から遠征したゼンノロブロイが2着と好走したレースでもある。
エネイブルの今季始動戦は、5月31日の英G1コロネーションカップ(芝12ハロン)か6月19日の英G1プリンスオブウェールズステークス(芝10ハロン)が有力。特にコロネーションCは昨年もエネイブルが脚部不安で休養に入る前、シーズン初戦に予定していたレースでもある。
ちなみにエネイブル陣営は昨年1月時点で英インターナショナルSと凱旋門賞を目標に挙げており、これは斤量負担を考慮した上でのローテーションだった。つまり今年も順調ならば、英インターナショナルSを凱旋門賞へのステップレースに選ぶ可能性が高いということでもある。
一方、シーオブクラスは5月27日の英G2ミドルトンステークス(芝10.5ハロン)を今季初戦に選ぶ可能性をウィリアム・ハガス調教師が示唆。その後のローテーションはまだ定かではないが、昨年同様のローテーションを選ぶならばヨークシャーオークスか英インターナショナルSに出てくる可能性は十分にあり得る。
つまり、アーモンドアイとエネイブル、そしてシーオブクラスの初対決が凱旋門賞の前に実現するかもしれないということだ。いちファンとしては本番まで直接対決は楽しみに取っておきたい気持ちもあるが、前哨戦で彼我の力量差を図れるというのは陣営にとって大きなメリットでもある。
果たして今年こそ日本の競馬界の悲願である凱旋門賞の制覇はなるのか。それともエネイブルが3連覇の偉業を成し遂げるのか。シーオブクラスが昨年の雪辱を果たすのか。はたまた3歳勢などの新興勢力が台頭するのか。いずれにせよ、競馬ファンはやきもきしながら凱旋門賞を待つことになる。だが、実際のレースまでにああでもない、こうでもないと頭をひねりながら予想するのもまた競馬の醍醐味。本番までの半年間を大いに楽しもう。(文・杉山貴宏)