彼女たちのライターの仕入れ場所は、出発階の喫煙コーナーだった。そこに置かれたライターを回収し、到着階の出口までいく。そこで売るわけだ。仕入れ値はもちろん無料である。
おばあちゃんたちが売るライターにはばらつきがある。火がつきにくいもの。ガスが残り少ないもの……。しかし1元である。煙草を喫いたい客は、それを確認もせずに買っていく。
ひとりっ子政策を推し進めた中国は、これから深刻な高齢者問題を抱えていく。ひとりっ子同士で結婚した場合、面倒をみる親が多い。年金も脆弱で、老人はひとりでは生きることができないという。
ウルムチの空港を出るたびに考え込んでしまう。これから中国各地の空港で、ライターおばあちゃんが増えていくような気がする。