幼稚園の預かり保育が拡充され、幼稚園と保育園の垣根が低くなってきている。2010年には「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」の保育のねらいが共通になり、18年度からは3歳以上の子どものには「教育」として統一されるなど、今後さらに子どもが受ける保育や教育の内容も近づいてくる見通しだ。いま両者の違いは、どんなところにあるのか。保活も最終局面を迎えているいま、園を選ぶときのポイントを専門家に聞いた。
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幼稚園と保育園は、面積や人員配置、備えるべき施設など国が定める設置基準に違いがある。保育に詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんが真っ先に挙げるのは、教諭または保育士1人あたりの子どもの人数の違いだ。
認可保育園は年齢別に、1人の保育士がみられる子どもの数を0歳3人、1~2歳は6人、3歳は20人、4~5歳は30人とする一方で、幼稚園は3~5歳でいずれも最大35人。幼稚園の配置基準は、OECD諸国の中では飛び抜けて低い水準だと猪熊さんは指摘する。
「幼稚園では満3歳から保育ができますが、同じ満3歳は保育所では2才児クラスで、先生1人に対して子どもの数は6人の配置基準です。幼稚園の年少クラスの担任は大変で、最近は幼稚園入園時におむつが取れていない子も少なくないため『夏休みの前までは、おむつの対応ばかりになってしまう』とこぼす幼稚園教諭もいました。園によって3歳児クラスを複数担任にしたり、1クラスの人数を少なくしたりしているところもあります。満3歳から預ける場合には、特に保育者の配置数に注意が必要でしょう」(猪熊さん)
自治体の保育力などを独自で調査する「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんも、特に、早生まれの子は生活面や運動面でも月齢が高い子より遅れがちで、コンプレックスを抱えやすいため、注意が必要だと指摘する。
「幼稚園も保育園も園ごとの違いが大きいので一概には言えませんが、早生まれのお子さんは、大人数で一斉のカリキュラムを組んでいる幼稚園よりも、少人数で子ども一人ひとりの発達に応じた保育をすることになっている保育所のほうが向いているかもしれません。実際に小学生の学力や体力を生れ月別に比較した研究では、早生まれの子が1学年下の春生まれの子よりも低かったという結果もあります」(普光院さん)