より多くの受験生に受験してもらうために、試験会場を多数設置している大学もある。岩手医科大学が6都市8会場、近畿大学は5都市7会場、東海大学は5都市6会場、金沢医科大学は5都市5会場で実施する(いずれも2019年入試)。

 2018年入試では、獨協医科大学が栃木県のキャンパスに加え、東京会場を新設。志願者数は1828人で、前年から298人増えた。

「志願者数を増やし、より優秀な学生を確保するために、受験生の利便性を考慮して東京会場を設けました」(獨協医科大学学務部入試課)

 2019年入試で首都圏に会場を設置しないのは、都道府県が共同して設立した栃木県下野市の自治医科大学を除くと、岡山県倉敷市の川崎医科大学だけだ。

「志願者数が1400~1600人ぐらいだから、キャンパスだけで入試を行えるのでしょう。会場を借りるのもお金がかかりますからね」(駿台の石原さん)

 東京会場や大阪会場を新設する大学がある一方で、地方会場を廃止する大学もある。

 2015年は東京、大阪、愛知、広島、福岡で一次試験を実施していた藤田医科大学(今年、藤田保健衛生大学から改名)は、2016年に広島会場、2017年に福岡会場を廃止した。

「広島や福岡での受験生が少なかったのではないでしょうか。愛知県にある2つの私立大学は、以前は自大学のキャンパスで一次試験を実施していましたが、豊明市の藤田医科大学は16年から、長久手市の愛知医科大学は18年から会場を名古屋市に移しました。両大学ともに名古屋駅から遠いため、受験生の利便性を考えたのだと思います」(メディカルラボの可児さん)

■センター試験の日程で右往左往。「講師付き」連泊も

 関西の私立大も会場確保に苦労している。大阪医科大学の過去5年間の一次試験の大阪会場は、実は関西大学か立命館大学を“間借り”している。机やイスの配置が必要なホールやビルの会場と比べて、他大学の会場を借りたほうが準備の負担が軽く済む。

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「朝食付き」ならぬ「講師付き」