視聴率に貢献?『キングオブコント2018』直前にスキャンダルが報じられたでバナナマンの日村 (c)朝日新聞社
視聴率に貢献?『キングオブコント2018』直前にスキャンダルが報じられたでバナナマンの日村 (c)朝日新聞社

 9月22日、コント日本一を決める『キングオブコント2018』(TBS系)の決勝が行われた。エントリー総数2490組の頂点に立ったのは、結成4年目の3人組「ハナコ」だった。菊田竜大、秋山寛貴、岡部大の3人から成るハナコは、アンガールズ、ブルゾンちえみ、サンシャイン池崎などを擁するワタナベエンターテインメントに所属している。この事務所から三大お笑いコンテスト(M-1、R-1、キングオブコント)の優勝者が出たのは初めてのことだ。その点でも歴史的な快挙だった。

『キングオブコント』は2008年に始まり、今年で11回目となる。数千組の出場者の中から予選を勝ち抜いた8~10組だけが決勝に進む、という基本的なシステムは変わっていないが、いくつかのルールや演出に関してはこれまでに何度かマイナーチェンジが行われている。

 中でも最も大きい変化だったのは、2015年の大会から審査員が変わったことだ。それまでの大会では、準決勝で敗れた芸人たちがスタジオに集まり、審査員を務めていた。いわば、同じ大会に挑んだ出場者である芸人同士で民主的に勝敗を決める、ということが行われていたのだ。

 だが、2015年からは松本人志、さまぁ~ず、バナナマンの5人が審査員を務めることになった。彼らは多数のレギュラー番組を抱えていて、芸人として文句なしの実績を持っている。特に松本は日本のお笑い界における権威そのもののような存在だ。いわば、審査体制が民主主義から権威主義へと移り変わったのである。この改革が行われた2015年の大会では視聴率も前年から急上昇した。有名芸人が審査に加わることで、多くの視聴者にとって番組として見やすいものになったのは間違いないだろう。

 だが、その後、視聴率は再び減少に転じた。そこで、今大会では昨年まではなかった3つの新しいシステムが取り入れられた。1つは「決勝のネタ時間が5分に伸びた」ということ。2つ目は「ファイナリストが発表されるのが当日になった」ということ。3つ目は「決勝でファイナルステージに進めるのは上位3組になった」ということだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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