4月放映開始の人気ドラマ「最高のオバハン 中島ハルコ」の原作者でもあり、作家の林真理子さん。コロナ禍でどう変わったか、その人生観は? 「AERA Money 2021春号」の巻頭インタビューから抜粋してお届けする。
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■店は現金が一番うれしいはず
「キャッシュレス全盛の時代ですが、小さなお店では、なるべく現金で支払うようにしています」
以前からそうしていたが、新型コロナウイルスの流行以降、林真理子さんがより心がけていることだ。
政府は感染予防の意味でもクレジットカードやスマホでの決済を勧めているが、林さんは意に介さない。
「店に本音を聞けば、100人のうち100人が現金を選ぶのではないでしょうか。カード払いだと売り上げから入金までのタイムラグが長すぎるんです」
実家は山梨県の「町の書店」だった。小さな店の資金繰りの大変さを知る林さんならではの心配りだ。
ここ1年で林さんの生活も変わった。
「みなさんそうだと思いますが、外出が減りました。外食をしても早い時間に解散です。
いいこともありましたよ。去年、月刊誌と週刊誌の連載が同時にはじまりましたが、落ち着いて執筆できました。スケジュール帳がびっしりと埋まっている生活から、一時的に静かな暮らしになり、『ミニ老後』を体験した気がします」
静かな暮らしとはいえ、悲観して引きこもることはなかった。「見たことのない現実が今、ここにある」と観察している自分がいたという。この冷静さは「作家ならでは」かもしれない。
「日本を支えてきたいろいろな文化が崩れ落ちようとしています。もっと、経済を回さなければならないのでは」
林さんは、現状に焦りとも憤りともつかない感情を表し、疑問を投げかけた。
「感染者をゼロにすることは現実的ではありません。命を守ることを第一にしながら、割り切るべきところは割り切るべきでしょう。経済が回らないと、文化がなくなります。宿泊や外食産業が衰退し、おもてなしの文化はすでに危うくなっています。
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