イラスト:土井ラブ平
イラスト:土井ラブ平

 自宅のこたつに入っているだけで、親戚からお年玉が次々にもらえる──。コロナ禍で「会えないから渡せない」というその悩み。スマホがお答えします。

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 目をうるませる娘(10)が、不憫でならなかった。

「連休もお盆も帰れなかったので、お正月こそと楽しみにしていました。子どもも落ち込んでいましたが、仕方ありません」

 全国的な「GoToトラベル」一時停止のニュースが駆け巡った夜、北海道の実家への帰省を取りやめた都内在住の女性(38)は、そう話す。

 ところが、祖父母がお年玉を現金書留で送ってくれるとわかるやいなや、娘はけろっと元気になった。女性が苦笑する。

「娘はお年玉が一番の心配事だったようです。新年のあいさつはLINEのビデオ通話ですませる予定です」

■正月限定スマイル不要

 新型コロナ感染拡大防止のための「勝負の3週間」は、事実上、失敗に終わった。年末年始に帰省を自粛したり、祖父母世代の高齢者と会うのを控えたりする「我慢の年末年始」になる。

 となれば、子どもたちの心配事は「お年玉」だ。普段はそんなに親しくない親戚にも、お正月限定の笑顔を振りまけばお年玉をもらえた。でも、いまは会うことすらままならない──。

 そんな時世に相まって「加速」が予想されるのが、お年玉のキャッシュレス化だ。

 20代の女性は、親戚の子どもたちから「キャッシュレスお年玉」を提案された。

「Amazonギフトカードでほしいと言われました。私も長距離を移動するのは不安ですし、カードを用意するつもりです」

 日本ファイナンシャルアカデミーが11月に発表した調査では、51%がお年玉のキャッシュレス化に賛成と回答。2018年の調査以来、最も高い数値だった。

 ひと口にキャッシュレスと言っても、タイプは幅広い。PayPayやLINE PayなどのQR決済、Suicaなどの交通系IC、図書カードやnanacoといったプリペイド式、などだ。スマホの所有率が高い中高生にはQR決済型でお年玉を「送金」、小学生にはプリペイド式のカードをお年玉代わりに、と使い分ける人もいる。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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