新日本プロレスNYで大盛況 “逆輸入パターン”戦略とその課題とは?

2019/05/10 17:00

 新日本プロレス会長の菅林直樹(54)は「やっとここまできた」と語った。ただ、試合前に行った取材中、あまり笑みを浮かべなかった。

「いや、もちろん感慨深いですよ。そうなんですけど、あまり感情を出してもね」

 常に自戒を忘れない。その理由は、過去のつまずきにある。

 武藤敬司(けいじ=56)、蝶野正洋(55)、橋本真也(故人)。90年代、その「闘魂三銃士」の活躍で、新日本プロレスはかつての人気を取り戻した。だが、21世紀に入ると、K‐1やPRIDEといった格闘技にファンを奪われていった。

 大きな転機は12年。親会社がカードゲーム会社「ブシロード」になり、広報宣伝に膨大な資金を投入。さらに、大手芸能事務所「アミューズ」と提携し、映画やドラマなどの芸能分野にも活動の幅を広げた。

 いまや、売り上げは過去最高になった。何度目かの「プロレスブーム」。その結晶こそが、このMSG大会だった。

 だが、考え続け、行動し続けなければ、いずれは再び衰退してしまいかねない。菅林は、ファンの裾野を広げるため、日本の外に活路を見いだす。MSGでの興行は、「本格的な世界進出の第一歩」でもあった。

 豪州でひそかに道場をつくり、そこでは「選手の卵」4人がデビューの日を待つ。「逆輸入パターンをつくる」と菅林。ロンドンに同じく道場をつくることも検討しており、この夏には、英国で初めてとなる自主興行をそのロンドンで行う。

 もちろん、課題もある。「世界のどの団体にも負けていない」と胸を張る試合内容の質の担保だ。

 新日本で名をあげた選手はこれまで、WWEなど海外の団体に引き抜かれることが多かった。棚橋と同じく、低迷期を支えた中邑真輔(39)もそう。菅林は「現行の5~10倍のギャラを選手に払えるようになれば、そんなことは起きない」と見積もる。そのため、有料動画配信サービスの会員数を現在の約5倍となる50万人にすることを目標としている。

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