言葉の壁をなくすお助けサービス(AERA 2018年3月5日号より)
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太洋物産 山本大哉さん(30)/日本製品をサウジアラビアに売り込む。最近はグーグル翻訳を多用し、「電子辞書の出番はなくなりました。高かったのになぁ」(撮影/写真部・写真部・小山幸佑)
太洋物産 山本大哉さん(30)/日本製品をサウジアラビアに売り込む。最近はグーグル翻訳を多用し、「電子辞書の出番はなくなりました。高かったのになぁ」(撮影/写真部・写真部・小山幸佑)

 英語にまつわるテクノロジーの進化が目覚ましい。ポケットサイズの翻訳機や、グーグル翻訳に勝るとも劣らない純国産の翻訳エンジン「VoiceTra(ボイストラ)」も登場。こうなってくると、もはや英語の勉強は必要なのでは、とも思えてくるが……。

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 ならば、もう私たちは英語を勉強しなくてもいいのでは? そんな考えが浮かぶが、全く勉強しなくてもよくなるわけではないらしい。

「機械が正しく翻訳できているかどうかは、基礎的な知識がないと判断できません。間違っていたらそれを修正できる程度の英語力は今後も必要です」(VoiceTraを開発した国立研究開発法人「情報通信研究機構」(NICT)の隅田英一郎さん)

 ただし、隅田さんは「外交官や国際ビジネスの最前線に立つような一部の人は別として、ビジネスパーソン全員がTOEIC800点を目指す必要はなくなるかもしれない」と指摘する。

 アメリカで行われた調査によれば、英語ネイティブが日本語をマスターするために要する時間は2200時間。おそらく日本人が英語をマスターするにも同じくらいの時間が必要だ。

 ちなみにいま日本の中学高校での英語授業は計910時間。隅田さん曰く、

「正しい日本語さえ書ければ、機械が正確に訳してくれる時代がくるとすると、膨大な時間をかけて英語を習得する必要があるのか。機械にできることを、人間が無理してやることはないと開き直って、英語以外の勉強に力を入れるというのも、選択肢の一つでしょう」

 電卓ができたことによって、「そろばん」は必須のスキルではなくなった。英語もそろばん化するということか。海外で営業などを行う太洋物産の山本大哉さん(30)さんは、どちらかといえば、それを是とする。

「僕は自分の娘と息子には、英語を頑張らせるつもりはありません。それよりプログラミングとか設計とかのスキルをつけたほうがいいかなと。僕自身も今後は、製品のことをよりよく理解し改善のアイデアも出せるように、物理とか理系の勉強をしたいと思っています」(山本さん)

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