羽生善治が獲得した「永世七冠」 一体どんなもの? (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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羽生善治が獲得した「永世七冠」 一体どんなもの?

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松本博文AERA
快挙を達成した後、笑顔で新聞を開く羽生善治新竜王。まだまだ強さは健在だ (c)朝日新聞社

快挙を達成した後、笑顔で新聞を開く羽生善治新竜王。まだまだ強さは健在だ (c)朝日新聞社

 全部で七番勝負。勝者が初代の永世竜王位を獲得する舞台だ。そこで羽生は3連勝。もう手を伸ばせば届くところまで来た。ところがそこからまさかの4連敗。将棋界では、3連勝後の4連敗は過去に例がない。羽生の輝かしい勝負人生における、数少ない挫折の一つとなった。

 10年、渡辺竜王に再挑戦したが敗退。一度抜かれた側が再度抜き返すのは難しいのが将棋の世界。さすがの羽生も「永世竜王」の称号だけは取れずに終わっても、不思議はなかった。

 さらに羽生はその圧倒的な強さゆえ、少しでも保持タイトルが減ると揶揄する声が聞こえてくるのが常だった。そんな中、今年度初めに棋聖、王位、王座の三冠を保持していたのが、王位を菅井竜也七段に、そして王座を中村太地七段に相次ぎ奪われた。

 19歳でトップに立った羽生もいまや47歳。

「羽生は衰えた」

 そんな声があがり始めた矢先、竜王戦が巡ってきた。挑戦権争いで当初注目されたのは、14歳の藤井だった。羽生とは非公式戦で対局し、1勝1敗。だが注目の新星は連勝が止まり、姿を消す。一方で、一度苦杯をなめさせられた若手の台頭は「史上最強」が目覚めるのに十分な刺激となった。

「羽生永世七冠を見たい」という圧倒的な世論を背に、渡辺とのリベンジマッチは4勝1敗で雪辱。99期目のタイトル獲得とともに、史上初の快挙を成し遂げた。だが大一番を制した後、会見で羽生は言った。

「将棋の本質がまだまだわかっていない」

 その謙虚さは、いつもと変わりがなかった。(文中敬称略)(将棋ライター・松本博文)

AERA 2017年12月18日号


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