朝から晩まで。「全力」で取り組めば、やることに際限はない(撮影/写真部・松永卓也)
朝から晩まで。「全力」で取り組めば、やることに際限はない(撮影/写真部・松永卓也)

 家事は生きること──だが今の日本では時に“苦役”だ。家事をやらない男、やらないことにうしろめたさを感じる女。情報化社会に長時間労働が、家事負担をメタボに膨らませる。自分たちの手元に家事を取り戻そう。まずは、いまのメタボ家事から逃げてみよう。

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「Add tomato!(トマトが欲しい)」

 そうつぶやいてから数時間後、あなたの手には、トマトがある。家から一歩も出ることなく。

 今年1月、米ラスベガスで開催された最新家電・テクノロジーの見本市・CESでひときわ注目を集めたのが、この音声認識機能つき冷蔵庫だ。韓国の大手家電メーカー・LG電子とアマゾンが共同開発した。人間の声を認識し、その指示に従う音声アシスタント機能を開発したのは、なんとLGではなくアマゾンだ。その名も「Alexa(アレクサ)」。冷蔵庫とショッピングが直結することで、私たちは買い忘れのストレスやレジに並ぶ時間から解放されるのだ。

●お米がなくならない?

 アマゾンは今、家事の現場を大きく変えようとしている。

 その一つが日本では昨年12月に発売された、日用品を1クリックで注文することができる「Amazon Dash Button(アマゾン ダッシュ ボタン)」だ。あまりの斬新さのためか、2015年3月末に米国で発売された当時は「エイプリルフールか?」と騒がれたが、米ユーザーは拡大し続け、商品も200種類以上にまで増えている。

 さらに「Amazon Dash Replenishment(アマゾン ダッシュ リプレニッシュメント)」に至っては、1クリックさえ必要としない。商品がなくなりかけると自動で再注文する魔法のようなクラウドサービスだ。米国ではブラザーと提携し、インクを自動発注するプリンターを販売、人気を博している。こうしたサービスが威力をより発揮するのが、消費量を忘れがちな商品だろう。日本ではアイリスオーヤマが、炊飯回数や量を検知しコメが払底する前に自動で発注する炊飯器を開発中だ。

 他にも三菱レイヨン・クリンスイでは、フィルターを通った水の量をもとに、これまで分かりづらかったカートリッジの交換時期をスマートフォンのアプリに通知し、購入できる浄水器を年内に販売予定だ。

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