室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、JOCが決定した理事会の非公開化に苦言を呈する。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 8月8日の京都新聞によれば、「日本オリンピック委員会(JOC)は8日の理事会で、9月10日の次回から理事会を報道陣に非公開とすることを決めた」という。なんでもその理由は、「本音での意見交換を促す狙いがあるとしている」だそうだ。「JOCによると、非公開化は1991年の日本体育協会(現日本スポーツ協会)からの独立後、初めて。24人の理事の採決で賛成19、反対4、保留1だった」という。

 どうして、この時期にそうなる? 開催費は膨らむばかり、暑さ対策はできていない、開催1年を切って問題が山積みの東京五輪。たった24人の理事が意見を言い合うより、出てきた問題に対して、その道の専門家など多くの人を引き入れ、対処したほうがいいに決まってる。

 だいたいさ、理事の人らは高額な報酬を得て、末端はボランティア。その面の皮の厚さをどうとも思わなかった人たちだもんね。

 大腸菌まみれでトイレの臭いがするという海。もうそのことについては「泳ぎ切った人は全員金メダルでいいんじゃないか」という声もあがっているほどだ。

 屋根のない客席には雪を降らせるという。が、その道のプロはこの話を「うまくいくか? 暑ければ雪にならない」と訝(いぶか)しがっている。

 エアコンなしの新国立競技場は、入場で並ぶお客さんの目を涼ませようと朝顔の鉢を並べることにしたみたいだが、それ根本的な暑さ対策じゃないから!

 でもって、旭日(きょくじつ)旗。組織委員会は「持ち込みを禁止しない」と発表した。

 韓国が嫌だっていってきたから、それに対してのアンサーだ。組織委員会は韓国メディアの取材に応じ、「日本で広く使われていて、政治的宣伝とはならない」と答えたらしい。

 それはかなり苦しい言い訳のように思う。今、この国じゃ旭日旗はレイシストの集会で使われていたりする。ネットで映像を探せばすぐ出てくるだろう。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ