「どう考えても無理な計画が、軌道修正もないまま強行されていく東京オリンピックの状況は、まさに第二次世界大戦中におけるインパール作戦です。熱中症の対策はないから、取り敢えず『大和魂で突っ込め』みたいな。普通は、検証してもう無理だとわかったら、その時点で中止にしますよね。でも、中止になったら、電通やスポンサー企業など、ここまで金をかけてきた大企業の人たちが損をしてしまう。だから、中止にはならない」

 金儲けを企むのは一部の人たち。この国のメディアは、新聞週間などに戦争を煽ったことを反省してみせるが、また同じことをしている。それがわかってない。

 大勢のタダ働きのボランティアが、倒れたり死んだりしたら、誰が責任を取るのか? 先の戦争のように一億総懺悔とするのか?

 もうそうさせてはいけないのだ。金儲けのため、あたしたちを殺しても構わないという輩には消えてもらいたい。でも、決してそういう輩は糾弾されない。メディアもグルだから。

週刊朝日  2019年9月6日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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