室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家の室井佑月氏は、来夏開催の東京五輪について「狂ってる」と不快感をあらわにする。

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 毎日、暑いことがワイドショーで騒がれている。猛暑なんて言葉、あたしが子どもの頃に使った? どうもテレビで「35度を超える猛暑日」というように、最高気温が35度を超えると猛暑日というみたいだ。

 総務省の発表によると、7月29日から8月4日までの1週間、熱中症の疑いで救急搬送された人は全国で1万8347人もいる。そして、このうちの57人が死亡したらしい。

 また環境省の「熱中症予防情報サイト」の運動に関する指針には、気温が31~35度で厳重警戒(激しい運動は中止)、35度以上で運動は原則中止となっている。

 ねえ、マジで来年のこの時期、東京でオリンピックやるの? 死人も出そうな状況で? つーか、そういったことも覚悟して? 狂ってる。心の中でそう思っている人は多いんじゃないか? あたしはそうだ。

 そんなあたしの疑問にバシッと答えてくれる記事を見つけた。WEBマガジン『WEZZY』8月12日付の、「2020年東京五輪は“人命”を軽く扱っていないか。組織委員会とメディアが犯した罪/本間龍インタビュー」である。

 本間さんは東京オリンピックの問題を指摘しつづけてきた作家さんだ。

 彼は、暑さ対策がまだなにもできていないのに、「日本は招致の段階で『この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である』(中略)と嘘をついて招致をしてしまった。だから、もう引っ込みがつかない」のだという。

 そして、この問題をどのメディアも指摘しない。なぜならば、主要な新聞は五輪スポンサーになっているからだ。「もともとオリンピックのスポンサーは原則的に『一業種一社』だったのが、電通が金儲けのためにその原則を崩してしまった」からだという。

 本間さんはいう。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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