侵入者があったとき、音は鳴らなくても外でパトライトが回るようにしておくだけでも、防犯効果は違うという。

「大切なことは、『ウチは防犯対策をきっちりやっていますよ』とアピールすることなのです」

 しかしそれは、そもそも空き家になっている家自体にも必要なことである。

「そう、空き家の周辺の家も、そして空き家自体も、犯罪を遠ざけるためのキーワードは一緒です。『入りにくくする』『見えやすくする』。防犯対策はこの二つのキーワードに凝縮されています」(前出・小宮さん)

 空き家自体が中に入りやすい場所であれば、入り込んで犯罪に利用される可能性は多々ある。

「女性を連れ込んで性的な暴行を働く、あるいはたむろする場所として利用されるということもあります。06年に岐阜県中津川市で13歳の少女が15歳の少年に殺されました。この事件は個人の住居ではなく廃墟となっていたパチンコ店で起きたものですが、やはり人がきちんと管理していないということが丸わかりの場所は、犯罪を誘発してしまうのです」(前出・小宮さん)

 空き家というものは、人から見られてはまずいことに利用されるという。

「16年には空き家を使って大麻を栽培していた男が逮捕されています。また昨年は刑務所から逃走した受刑者が、空き家の屋根裏に身を隠していたこともニュースになりました。空き家は中にモノが置いたままだと、それらが盗られたり、人が入り込んで居座られたり、放火される危険性もあることを忘れてはいけません」(前出・桜井さん)

 最近は空き家にモノを盗みに入る泥棒も増えていると、NPO法人「空家・空地管理センター」代表理事の上田真一さんは言う。「家の中にあるものが盗られてしまうケースもありますが、近年多いのはエアコンの室外機が勝手に持ち去られてしまうことです。室外機ならわざわざ家の中に入らなくても持っていけますし売却すればお金になります。そうしたことが起きないようにするためには、やはり所有している空き家は定期的に点検に行くことです。そして意識的に、空き家にはモノは置かないようにすることが大切です」

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