「8剤のうち、ある薬剤がほかの薬剤に比べて有効性が高い・低いということはありません。また、どのような患者さんに、どのようなタイプの生物学的製剤が適しているのかはまだ不明です」(竹内医師)

 このため、生物学的製剤を選ぶ際のポイントの一つは投与方法。通院を減らしたい患者には自己注射が可能な薬剤、手の変形が進み自己注射が難しい患者には、医療機関での皮下注射や点滴が可能な薬剤といった選び方である。

 針谷医師によると、MTXとの組み合わせでも選び方が異なる場合があるという。TNF阻害薬はMTXと併用すると治療効果が高まるため、基本的に一緒に使うことになる。一方、それ以外のタイプの場合、MTXとの併用は「使えれば使ったほうがよい」が、併用できなくても単独でも効果が十分期待できるという。

「すなわち、副作用などでMTXが使えない患者さんには、TNF阻害薬以外を処方する確率が高くなります」(針谷医師)

 治療で関節リウマチの状態が20%くらいよくなったと実感できるレベルをACR20という。生物学的製剤によりACR20を達成できる人は、第一段階のMTXが効かなかった人の50~70%。ACR70(ほとんどよくなった)という人も20~30%はいるとされている。

 この第二段階でも寛解を達成できなかった、いったん達成できたものの再燃してきたという場合でも、第三段階の治療がある。

 ここでの生物学的製剤の選び方は、第二段階がTNF阻害薬だった場合、ほかのTNF阻害薬にするか、TNF阻害薬以外のタイプの薬に変更することになる。針谷医師は次のように強調する。

「関節リウマチの治療薬は種類も数もそろってきました。A剤がだめでもB剤、C剤があるという具合に、何重にもカバーできる体制が整っているのです。進行してしまってからでは治療効果が小さくなるため、とにかく早く治療を始めることです」

(ライター・近藤昭彦)

週刊朝日  2018年8月10日号