竹内勤医師(左)、針谷正祥医師
竹内勤医師(左)、針谷正祥医師
関節リウマチデータ (週刊朝日 2018年8月10日号より)
関節リウマチデータ (週刊朝日 2018年8月10日号より)

 手足の関節が腫れて痛む関節リウマチは、進行すると関節が変形して日常生活に支障をきたし、関節破壊にまで進む場合もある。これに対して、治療効果の高い新しいタイプの薬剤のラインアップが充実してきた。

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 関節は関節包という袋に覆われており、その内側に張られている滑膜が増殖し、炎症を起こすことで、関節が腫れ、痛むのが関節リウマチである。発症する部位は、手・手首、足・足首、ひざ、脚の付け根、肩、首などである。進行すれば関節が変形し破壊され、日常生活が困難になるケースも出てくる。

 厚生労働省研究班報告によると、罹患者は71万人いるとされ、女性は男性より3倍かかりやすい。

 なぜこのような関節症状があらわれるのか。それは、本来自分のからだを守るために細菌やウイルスなどを攻撃する「免疫」に異常が生じ、滑膜を増殖させ、骨や軟骨を攻撃してしまうからと考えられている。いわば免疫が「暴走」して自分自身を攻撃している状態だ。

 東京女子医科大学病院膠原病リウマチ痛風センター特任教授の針谷正祥医師は、発症のしくみについて次のように解説する。

「関節リウマチの発症にどのような遺伝子が関係しているのか、かなり特定されてきました。また、発症の引き金となる環境因子としては喫煙や歯周病がよく知られています」

 関節リウマチの診断は、関節などの症状のあらわれ方に、血液検査やX線検査の結果などを合わせておこなう。血液検査でリウマチ反応が陽性となっても、それだけでは診断できない。

 診断が確定したら治療計画を立てる。関節リウマチは発症から1~2年のうちに急速に進行(悪化)してしまうことが明らかであり、3カ月、6カ月といった期限を区切って病状を評価して目標を設定。それに合わせて治療薬を見直していく。

 まだ、完治を期待できる治療法はないため、関節症状のコントロール、関節破壊の抑制、患者の身体機能の正常化などから、最終的にはより早期の「寛解」達成を目指す。寛解とは、日常生活に支障がない程度にまで症状が十分抑えられた状態である。

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