戸山では教員による小論文指導、医学系予備校による入試動向分析など、実践的な支援もしている。18年入試では、国公立の医学部に東大理IIIを含む8人が合格した。私大にも6人が受かり、そのうち2人は「東京都地域枠」。指定された医療機関の特定の診療科に9年間勤めれば、奨学金の返済が免除になる制度だ。

 このように医学部に強い高校では、受験勉強だけでなくキャリア教育も充実させようとしている。背景には医学部入試における「面接」の強化がある。

 東大は今年の入試で11年ぶりに面接を復活させた。ほかの大学でも、医師を目指すにふさわしい生徒かどうか、面接で見極めようとしている。

 知識偏重型の教育は、グローバルスタンダードにも合わなくなっている。日本の医学教育は外国と比べると、診療参加型臨床実習の時間が短いと指摘されている。このため臨床実習の時間を増やし、国際標準に近づけようとしている。医師になりたいという強い意志に加え、患者を思いやれる人間性も問われる。

 中でも一番面接時間が長いのが、昨年医学部を新設した国際医療福祉大だ。ほとんどの大学は1人10~20分程度の面接を1~3日かけて行う。国際医療福祉大は1人1時間(30分×2)の面接を6日間かけて実施する。北村聖医学部長は意義を強調する。

「面接に時間をかけ、医師としての資質などをじっくりみます。モチベーションが高い生徒が入学し、英語教育にも力を入れていることから、1期生は大半が英語圏の大学留学に必要なスコアを上回った。入学時は英語がさほど得意でなかった学生も、英語による医学の授業を十分にこなし、140人全員が進級しました」

 いくらペーパー試験の点数がよくても、医師としての資質が備わっていない受験生は合格できない。医学部合格者が多い高校は、受験勉強だけでなく、人間性を高めることや、キャリア教育にも力を入れているところが並ぶ。

 今回の医学部に強い高校ランキングは、医師になりたい受験生や親以外にとっても、本当の教育を目指す高校を探す参考になりそうだ。(庄村敦子)

週刊朝日 2018年4月27日号より抜粋