■自分に必要な治療態勢や実績、人員を見極める

 自分で病院を選ぶとき、何を目安にすべきなのか。病院を探すときの八つのポイントは以下だ。

ポイント1 これから受ける治療の態勢が整っているか
ポイント2 その治療について実績があるか
ポイント3 キャンサーボードを実施しているか
ポイント4 治療方針について患者にしっかり説明がなされているか
ポイント5 治療の態勢や実績などについて、しっかりと情報公開しているか
ポイント6 持病がある場合、対応する態勢があるか
ポイント7 治療~療養中の生活支援態勢が整っているか
ポイント8 無理なく通院できるか

 まず、これから受ける治療の態勢が整っているか。治療はがんができた部位や進行具合、全身症状によって治療法が異なる。そのため、自分に必要な治療法を提供している病院を選ぶことが大前提だ。たとえば大腸がんで腹腔鏡手術によって根治が期待でき、患者本人が開腹手術よりも腹腔鏡手術を希望しているという場合、腹腔鏡手術も実施している病院を探す。そしてその治療に対して実績があるかどうか。手術件数などを確認する。

「多くのがんには、『標準治療』があり、それを主軸にした治療を提供している病院の中で探すことが大事です。よく標準という言葉を『並』と勘違いして『標準よりも最新・最善の治療を受けたい』と目新しい治療を探す人がいますが、標準治療は現時点で最も安全で、最も効果が高いと科学的に裏付けられた治療です。健康保険も適用されています」(若尾医師)

 そしてなぜその治療方針なのかを、患者にしっかり説明できているかどうかも重要だ。

 自分のがんを診てもらう診療科に、専門医がいるかも確認しておきたい。専門医とは、各部位のがんに関連した学会が審査の結果、専門知識や手術の技能などを持っていると認定した医師のこと。たとえば乳がんなら日本乳癌学会や日本外科学会の専門医、さらにレベルの高い指導医がこれに当たる。

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