病院選びは主治医と相談して検討を(イラスト/あらいしづか)
病院選びは主治医と相談して検討を(イラスト/あらいしづか)

 がんの疑いを指摘されたら、誰もが「いい病院で納得のいく治療を受けたい」と思うだろう。限られた時間の中で、いい病院を選ぶ方法とはーー。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2018』では、がんになったときの病院選びのポイントを紹介している。

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 病院選びの悩みはがんの疑いが濃厚になった、あるいはがんと診断された段階で発生することが多い。告知された医療機関でそのまま治療を受けられればいいが、主に次の二つのケースで新たな病院探しが必要になる。

 一つ目はその医療機関に設備がないことや専門医がいないなどの理由で、自分に必要な検査や治療を受けられない場合だ。検診センターや近所のクリニックで病気がわかれば、別の医療機関へ紹介されることが多い。

 そしてもう一つは、医療を受けられる態勢はあっても、患者側が病院や医師、治療方針などに不安や不満を感じ、転院を希望するケースだ。国立がん研究センターがん対策情報センター長の若尾文彦医師は言う。

「医師が病院を紹介してくれることもありますが、自分の出身大学の関連病院だからとか、がんならとりあえずこの病院というように機械的に紹介している場合も。『なぜその病院なのか』、理由を聞いてみましょう」

 病院選びでは、「早く決めないとがんが進行するのでは」「主治医の機嫌を損ねたら」などと焦り、納得できていないまま病院を決めて後悔する人も多い。患者が主体的に医療に参加することを目指す「ささえあい医療人権センターCOML」理事長の山口育子さんは言う。

「医師に『一回持ち帰って考えてみる時間的余裕がありますか』と率直に聞いてみるのも一つの方法です。患者さんが病院選びに抱く不安や焦る気持ちを理解している医師であれば、誠実に対応してくれるはずです」

 現主治医に提示された治療方針に迷いがあるときは、別の医療機関の医師に意見を求める「セカンドオピニオン」を活用しよう。次からは、病院を探すときのポイントを詳しく紹介する。

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