奨学金では、将来の負担がない給付型を目指したい。日本学生支援機構は、住民税が非課税の世帯などで成績が優れた生徒らを対象に、17年度から給付型を始めた。17年度の実績は約2500人だが、18年度からは年間2万人規模にする。

 大学や企業・団体によっては独自の給付型もある。成績や親の年収などの条件を満たせば、年間10万~60万円程度が支給される。制度はいろいろあるため、ネットや大学の掲示板などで探してみよう。給付型を受けた私立大生はこう喜ぶ。

「返納する必要がないことは安心感につながっている。親の仕送りも抑えることができた。奨学金をもらえなかったら、バイトを増やすしかなかった」

 貸与型は親の年収や成績の条件が緩く、利用しやすい。利息がつかないものもある。機構の貸与型は年間約130万人(短大や専門学校生らを含む)が受けており、学生全体の2.7人に1人が利用している。

 教育ローンは入学前にまとまった資金を確保できる。日本政策金融公庫では、学生1人あたり350万円まで年1.76%の金利で借りられる。民間の銀行や信用金庫などにも、それぞれの商品がある。奨学金と併用することもできるため、入学金などを貯蓄でまかなえない場合は便利だ。

 意外に知られていないのが入学金・授業料の減免制度。全ての国公立大や多くの私立大にあり、内容はそれぞれ異なる。親の年収や成績などの条件は厳しめだが、全額免除となると50万~100万円程度の大きな負担軽減になる。

 このように、奨学金や教育ローン、授業料減免の制度は様々で、大学受験前からインターネットなどで情報収集しておきたい。

 注意点もある。貸与型の奨学金や教育ローンは、借りすぎは禁物。最低限必要な額だけ借りるべきだ。

 就職してもすぐに辞めたり、給料が思ったより上がらなかったりする場合もある。奨学金を返せず自己破産するケースも相次ぐ。経済状況が悪化した場合は、無理せず返還猶予などの救済制度を検討しよう。日本学生支援機構の返還猶予件数は、16年度は15万件を超えた。機構では奨学金返還相談センター(0570-666-301)に、早めに連絡してほしいと呼びかけている。

 教育費で家計が行き詰まることがないよう、親や学生本人が、いまからマネープランを考えておこう。(本誌・吉崎洋夫、多田敏男)

週刊朝日 2018年4月20日号

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら