大学でも奨学金などの情報が公開されている。上手に利用しよう(c)朝日新聞社
大学でも奨学金などの情報が公開されている。上手に利用しよう(c)朝日新聞社
幼稚園から高校までの15年間の学習費(週刊朝日 2018年4月20日号より)
幼稚園から高校までの15年間の学習費(週刊朝日 2018年4月20日号より)
教育費の主な支援制度とその特徴(週刊朝日 2018年4月20日号より)
教育費の主な支援制度とその特徴(週刊朝日 2018年4月20日号より)
大学生1カ月の生活費(週刊朝日 2018年4月20日号より)
大学生1カ月の生活費(週刊朝日 2018年4月20日号より)
日本学生支援機構 返還期限猶予の承認件数(週刊朝日 2018年4月20日号より)
日本学生支援機構 返還期限猶予の承認件数(週刊朝日 2018年4月20日号より)

 今年も多くの受験生が、念願の「サクラサク」季節を迎えることができた。大学生活は楽しみだが、心配なのはお金の問題。教育費は増加傾向で、親や本人にとって大きな負担になる。奨学金や教育ローン、授業料の減免など、いろんな制度を活用して乗り切ろう。

【図表】すべて公立、すべて市立でこんなに違う!幼稚園から高校までの15年間の学習費

「子どもには良い教育を受けさせて、将来困らないようにしてあげたい」

 多くの親がこうした思いを持っている。幼稚園や小学校から私立の名門に通わせる家庭も少なくない。いい大学に合格し、いい企業に就職するための近道かもしれないが、お金はかかる。

 文部科学省の2016年度の調査では、幼稚園から高校卒業まで15年間、全て私立に通った場合の学習費(塾の費用なども含む)は約1770万円。全て公立に通った場合(約540万円)の3倍以上だ。

 一番お金がかからないはずの全て公立の場合でも、学習費は増えている。2年前の前回調査と比べ約17万円増で、「公立の高校生の塾費用などが増えている」(同省)という。

 東大や京大などの難関大に合格するには、私立の中高一貫校が有利だとされてきた。最近は公立の中高一貫校を選ぶ家庭も目立っている。息子が都立の中高一貫校に通う40代の父親はこう話す。

「私立高校だと1年間の授業料などが100万円を超えるところも多い。都立では約12万円なので、だいぶ助かっています」

 難関大の合格者ランキングを見ても、東京の日比谷や大阪の北野など、公立の名門校が復活している。少しでも学費を抑えようと、公立高の人気が高まっているのだ。

 高校まででもお金がかかるのに、大学に入るとなおさらだ。全国大学生活協同組合連合会の調査では、17年度の大学受験から入学までにかかった費用は、国公立と私立を合わせた平均で約170万円。入学金や授業料に加え、受験料や教材費なども必要だ。

 大学生で下宿生活を始めれば、生活費もふくらむ。同連合会の調査では、下宿生の1カ月の生活費は平均12万4千円で、自宅生(6万4千円)の倍近い。下宿生の生活費の原資は仕送りが7万3千円で、残りは奨学金2万円、アルバイト2万9千円などとなっている。

 いまや大学生活は奨学金やアルバイトがないと、成り立たなくなっている。日本学生支援機構(旧日本育英会)によると、機構や大学、自治体などの奨学金を利用しているのは、大学生のほぼ半分に達する。

 一口に奨学金と言っても、お金を返さなくてよい「給付型」や、卒業後に時間をかけて返す「貸与型」がある。ほかにも親が金融機関から借りる教育ローンや、入学金や授業料が減免される制度もある。こうした制度をうまく活用することが、「教育費に負けない」ことにつながる。

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ