東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
開幕ローテーションで先発起用も期待される松坂(c)朝日新聞社
開幕ローテーションで先発起用も期待される松坂(c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、2度目のオープン戦で課題を残した松坂大輔選手について解説する。

【写真】開幕ローテーションで先発起用も期待される松坂

*  *  *

 3月14日にナゴヤドームで行われた中日―西武戦で、松坂大輔と松井稼頭央の対戦があった。監督として2人のルーキー時代から見てきた私にとっても、うれしいかぎり。1番で稼頭央を起用してくれた辻監督にも感謝したいし、昔から2人を知るファンの方々にも懐かしく思ってもらえたのではないかなと思う。

 10日に1度のペースでオープン戦の登板をさせている大輔だが、森繁和監督は、体調に問題がなければ、開幕ローテーション1巡目で先発起用することを決断しているだろう。おそらく、あと1試合のオープン戦登板で4、5回を投げさせて、公式戦最初の登板は5回、75球をメドにする。シーズンも、投げては出場選手登録抹消の繰り返し、間隔を空けながら球数を増やしていくことになるだろう。こんなに段階を踏んで考えてくれる監督はなかなかいないよ。

 14日の登板についてだが、三回に大きく制球を乱した。無理もない。3年間、ほとんどまともに投げてきていない投手。50球を超えて、指先の力が落ちれば、球は抜ける。その作業を繰り返しながら、少しずつ肩のスタミナをつけるしかない。それなら2軍でリハビリを……と考える方もいると思うが、気持ちが乗って力を発揮するのが大輔だ。2軍で調整登板を繰り返しているだけでは、いつまでも見えない課題を探して解消しようとする日々になってしまう。

 恐怖心をどこかで振り切って腕を全力で振る。それは今ではないのかもしれない。肩のスタミナをつけていきながら、1試合の中で何球かだけ腕を振る。その割合を少しずつ増やしていくことになるだろう。それが6、7月になるかもしれない。それまでは、投球術を駆使して、もがきながら勝利を目指すしかない。

 西武戦でもほとんどフォーシームを投げず、ツーシーム(シュート)、カットボールといった打者の手元でわずかに変化するボールを駆使しながら、スライダーを内外角に投げる。しかもほとんど投げていなかったスプリットも試したと聞く。何とか芯を外して……という投球スタイルでいきながら、強く腕を振れるようになれば、球のスピンや変化球のキレも出てくる。

著者プロフィールを見る
東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

東尾修の記事一覧はこちら
次のページ