あとは、初めてのセ・リーグで相手選手のことをほとんど知らないだろうから、洞察力が大切かな。セの打者は変化球のコンタクトがうまい打者が多い。そういったことも、1軍のマウンドで1軍の打者と対戦しなければ、体に染みついていかないものだ。

 もし、単純に開幕時の実力だけで判断するのなら、開幕ローテーション入りは難しいだろう。だが、森監督はその先を見ていると思う。大輔がある程度投げられるようになれば、他の投手への波及効果も大きい。白星がつけば、本人にも自信がついてくる。

 開幕が近づいてくると、順位予想をお願いされるが、年を追うごとに予想は難しくなっている。以前なら、野手はレギュラー9人の力量と、投手なら先発の駒とクローザーを見れば戦力を測れたが、今は年間50人前後の選手をシーズンで起用する時代。控えの厚さを外部からすべて見通すことはできない。日本ハムの清宮幸太郎が腹膜炎で入院したが、開幕は難しくてもシーズン中には必ず戦力となる。評論家の見立てをいい意味で裏切る選手が出てきてほしい。

週刊朝日  2018年3月30日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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